蒲柳の質(読み)ホリュウノシツ

デジタル大辞泉 「蒲柳の質」の意味・読み・例文・類語

ほりゅう‐の‐しつ〔ホリウ‐〕【×蒲柳の質】

からだが弱く病気にかかりやすい体質
[類語]多病病弱弱いひよわ虚弱羸弱るいじゃく尩弱おうじゃく

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精選版 日本国語大辞典 「蒲柳の質」の意味・読み・例文・類語

ほりゅう【蒲柳】 の=質(しつ)[=性(せい・しょう)

  1. ひよわな体質。虚弱体質。
    1. [初出の実例]「小臣常有蒲柳」(出典経国集(827)一・重陽節神泉苑賦秋可哀応制〈淳和天皇〉)
    2. 「襟巻や蒲柳の質の顔よけれ〈六花〉」(出典:続春夏秋冬(1906‐07)〈河東碧梧桐選〉冬)

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故事成語を知る辞典 「蒲柳の質」の解説

蒲柳の質

肉体的に弱く、病気にかかりやすい体質のたとえ。

[使用例] 新一郎が、突然かっけつしたのは、それから間もなくであった。蒲柳の質である彼は、いつの間にか肺を侵されていたのである[菊池寛*仇討禁止令|1936]

[由来] 「世説新語―言語」に見える逸話から。六世紀の中国、南北朝時代のこと。りょう王朝のかんぶんてい家臣えつは、同い年でしたが、顧悦は早くから白髪でした。簡文帝がそのことについて尋ねたとき、顧悦は、「蒲柳の姿は秋に望みて落ち、松柏の質は霜を経て弥々いよいよ茂る(カワヤナギのような私は、秋を前にして葉が落ちてしまい、マツやコノテガシワのような皇帝は、霜が降りるとよりいっそう葉を茂らせるのです)」と答えたということです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蒲柳の質」の意味・わかりやすい解説

蒲柳の質
ほりゅうのしつ

ひ弱な体質や体のか弱いことのたとえ。「蒲柳の姿」ともいう。蒲柳はカワヤナギの異称で、『晋書(しんじょ)』「顧悦之伝」に「松柏(しょうはく)の姿は霜を経てなお茂るも、蒲柳の質は秋を望んで先ず零(お)つる」などとあるように、カワヤナギはなよなよとしていて、しかも葉の落ちるのが早いので、か弱い体やひ弱な体質のたとえとされるのである。

[田所義行]

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