尩弱(読み)オウジャク

デジタル大辞泉 「尩弱」の意味・読み・例文・類語

おう‐じゃく〔ワウ‐〕【×尩弱/×尫弱】

[名・形動タリ]
体力気力などが弱々しいこと。また、そのさま。柔弱
「―たる弓を敵のとりもて」〈平家一一
貧しいこと。また、そのさま。
「―の官人、たまたま出仕の微牛をとらるべきやうなし」〈徒然・二〇六〉
[名・形動ナリ]つまらないこと。取るに足りないこと。また、そのさま。
「―ナ事ナレドモ」〈日葡
[類語]弱いひよわ虚弱羸弱るいじゃく病弱脆弱ぜいじゃく繊弱劣弱薄弱柔弱惰弱孱弱せんじゃくもろやわやわ軟弱華奢きゃしゃひ弱いか弱い弱弱しい弱体

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精選版 日本国語大辞典 「尩弱」の意味・読み・例文・類語

おう‐じゃくワウ‥【尩弱・尫弱・弱】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動ナリ・タリ )
  2. 弱いこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. (イ) 体、体力、気力などが弱いこと。かよわいこと。ひよわいこと。弱々しいこと。
      1. [初出の実例]「幼喪其母、血泣摧残、漿不入口、幾将滅性、自茲尫弱、進趣饒病」(出典:家伝(760頃)下)
      2. 「馬允なにがしとかやいひける老者、〈略〉尩弱の体にて、物くひてゐたりけるが」(出典:古今著聞集(1254)一六)
      3. [その他の文献]〔謝霊運‐謝封康楽侯表〕
    2. (ロ) 威力、勢力、影響力などが小さいこと。
      1. [初出の実例]「只近代使庁沙汰、逐日尫弱、偏如鴻毛」(出典:吾妻鏡‐文治三年(1187)一〇月三日)
      2. 「まことに尫弱(ワウジャク)の家に生れ天下一統の功を立給ひし事」(出典:信長記(1622)一上)
    3. (ハ) (弓などが)強くないこと。
      1. [初出の実例]「尫弱たる弓をかたきのとりもて、〈略〉嘲哢(てうろう)せんずるが口惜ければ」(出典:平家物語(13C前)一一)
  3. 少ないこと。〔元和本下学集(1617)〕
    1. (イ) 土地からの税の貢納が少ないこと。
      1. [初出の実例]「就弱所領、被抜群之課役事、難堪之至也」(出典:新札往来(1367)下)
    2. (ロ) 物品、金額が少ないこと。
      1. [初出の実例]「抑笙筥一合 蒔絵摺貝 妙怤持参、〈略〉結構之物也、則令買得、其代尫弱也、不慮感得喜悦也」(出典:看聞御記‐永享七年(1435)一一月六日)
  4. 貧しいこと。貧乏であること。
    1. [初出の実例]「為弱土民身」(出典:東寺百合文書‐へ・文保元年(1317)五月一七日・浄仏父子起請文)
  5. 弱点、弱味があること。
    1. [初出の実例]「牛の事〈略〉在所をも不得尋候間、迷惑仕候。彼牛の事、此方よりはわうしゃく之儀なく候由申候へ共」(出典:高野山文書‐(年未詳)(室町)五月一七日・徳久書状)

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