薬物アレルギー(読み)やくぶつあれるぎー(英語表記)drug allergy

日本大百科全書(ニッポニカ) 「薬物アレルギー」の意味・わかりやすい解説

薬物アレルギー
やくぶつあれるぎー
drug allergy

薬物または薬物の生体内代謝物が抗原となって生体が感作(かんさ)され、再度その薬物(抗原)が体内に侵入したときに発生する免疫応答抗原抗体反応)をいう。しかし、実際にはアレルギー類似反応も含めて薬物過敏反応と同義に用いられることが多い。症状として出現頻度のもっとも高いのは皮膚症状で、薬疹(やくしん)とよばれる。

 なお、薬物アレルギーを誘発する代表的薬剤ペニシリンがあり、ペニシリンアレルギーの激症型(全身性アナフィラキシー)がペニシリンショックである。経口投与でもみられることがあるが通常は注射の場合で、アトピー体質者の発生頻度が高い。アナフィラキシー発生の初期(15分以内)に急性循環不全と気道狭窄(きょうさく)に対する救急処置を行うことがもっとも重要であり、その適否によって予後が左右される。

[高橋昭三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「薬物アレルギー」の意味・わかりやすい解説

薬物アレルギー
やくぶつアレルギー

薬が原因で過敏性反応が現れること。主な症状は,皮膚症状では紅斑 (こうはん) ,薬疹 (やくしん) といわれる発疹などで,その他発熱,関節痛関節炎なども見られることがある。ショックを起こすこともあり,重篤な場合は生命にかかわることもある。薬物アレルギーの予防には,アレルギーを起こしやすい薬物はあらかじめ皮内反応を行なってアレルギーの有無を確認する必要がある。薬物アレルギーを起こす薬物として代表的なものは,アスピリン,ペニシリン,ヨードインスリンなど。

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