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藤十郎の恋 とうじゅうろうのこい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

藤十郎の恋
とうじゅうろうのこい

菊池寛の小説。 1919年発表。元禄時代和事 (わごと) の名優坂田藤十郎は,自分のファンである人妻お梶に偽りの恋をしかけることによって芸道に開眼し,行きづまりを打破することができたが,もてあそばれたと知ったお梶は毒を飲んで死ぬ。女の純情を踏みにじってまで芸に執着する非情な役者根性を描いたこの作品は,作者の手により 21年戯曲化され,当り狂言の一つとなった。

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デジタル大辞泉の解説

とうじゅうろうのこい〔トウジフラウのこひ〕【藤十郎の恋】

菊池寛の小説。大正8年(1919)、大阪毎日新聞で発表。のちに1幕3場の戯曲に書き改め、大正9年(1920)刊行の同名の戯曲集に収録。初世坂田藤十郎を主人公とする。

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世界大百科事典 第2版の解説

とうじゅうろうのこい【藤十郎の恋】

戯曲。1幕3場。菊池寛作。はじめ小説として1919年4月《大阪毎日新聞》夕刊に連載。同年10月大森痴雪脚色により大阪浪花座初演。坂田藤十郎を初世中村鴈治郎,宗清女房お梶を4世中村福助(のちの3世梅玉)など。のちに作者自身脚色して翌20年戯曲集《藤十郎の恋》に収録。《役者論語》にある元禄の名優坂田藤十郎の逸話に拠る。中村七三郎の《傾城浅間嶽》の人気に押された都万太夫座の坂田藤十郎は,近松の新狂言に京歌舞伎の命運を賭ける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

藤十郎の恋
とうじゅうろうのこい

菊池寛(かん)の戯曲。一幕三場。1919年(大正8)4月、小説として『大阪毎日新聞』に発表。同年10月、大森痴雪(ちせつ)脚色により初世中村鴈治郎(がんじろう)らが大阪・浪花(なにわ)座で初演したが、これとは別に作者自身が戯曲として書き、20年4月刊行の戯曲集『藤十郎の恋』に収めた。京都・都万太夫(みやこまんだゆう)座の和事(わごと)の名優坂田藤十郎は、密夫(みそかお)の役のくふうがつかず、芝居茶屋の女房お梶(かじ)に恋をしかける。藤十郎の芸は絶賛されるが、偽りの恋と知ったお梶は自害する。『役者論語(ばなし)』(1776)に収められている『賢外(けんがい)集』の藤十郎の逸話に拠(よ)りながら、名優の芸の非情さに焦点をあてた。新歌舞伎(かぶき)のレパートリーとしてよく上演されるほか、長谷川一夫(はせがわかずお)主演で1938年(昭和13)と55年の2回映画化されている。[藤木宏幸]
『『藤十郎の恋・恩讐の彼方に』『父帰る・屋上の狂人』(新潮文庫)』

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