岩船寺(読み)ガンセンジ

デジタル大辞泉 「岩船寺」の意味・読み・例文・類語

がんせん‐じ【岩船寺】

京都府木津川市加茂町岩船にある真言律宗の寺。山号高雄山。天平元年(729)聖武天皇の勅願によって行基建立した阿弥陀堂に始まる。阿弥陀如来座像・三重塔石室などがある。

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精選版 日本国語大辞典 「岩船寺」の意味・読み・例文・類語

がんせん‐じ【岩船寺】

  1. 京都府相楽郡加茂町岩船にある真言律宗の寺。山号高雄山。天平元年(七二九)聖武天皇の勅願により行基が建立した阿彌陀堂にはじまり、弘仁年間(八一〇‐八二四)智泉が現在名に改称。三重塔、阿彌陀如来像、普賢菩薩像など国の重要文化財も多い。いわふねでら。

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日本歴史地名大系 「岩船寺」の解説

岩船寺
がんせんじ

[現在地名]加茂町岩船

加茂町の南端部、奈良県境近くの当尾とうのお山中にある古刹。高尾山報恩院と号し、真言律宗。本尊阿弥陀如来。寺伝によれば、天平元年(七二九)聖武天皇の勅によって行基が阿弥陀堂を建立したのに始まる。その後、同地に空海の姉の子智泉が報恩ほうおん院を開き、嵯峨天皇の命で皇子誕生を祈った。その結果、のちに仁明天皇となった皇子が誕生し、その功によって弘仁四年(八一三)堂塔が建立され、岩船寺と号するようになった。さらに母后から水田一〇町、山地三六〇町を寺領として下賜されたという。寺勢が盛んな時は境内一六町、堂塔三九宇を数えたと伝える。しかし承久の乱の兵火にかかって堂塔・記録などを失い、詳細は不明という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「岩船寺」の意味・わかりやすい解説

岩船寺
がんせんじ

京都府木津川(きづがわ)市加茂町岩船(かもちょういわふね)にある真言律宗の寺。山号は高雄山(こうゆうざん)。聖武(しょうむ)天皇の729年(天平1)に行基(ぎょうき)が阿弥陀(あみだ)堂を建立したのが始まりで、のち弘法(こうぼう)大師(空海)とその甥(おい)の智泉(ちせん)が伝法を行ってから灌頂(かんじょう)堂となり、智泉が新たに報恩(ほうおん)院を建立した。その後も皇室の援助によって堂舎が建てられ、岩船寺と称するようになった。盛時は寺塔39坊を数えたが、1221年(承久3)承久(じょうきゅう)の乱の兵火にかかり、また1311年(応長1)再度の兵火により堂宇の過半を焼失した。寛永(かんえい)年間(1624~44)徳川幕府の寄進によって修造された。本尊阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)、普賢菩薩(ふげんぼさつ)像など国の重要文化財も多い。境内には三重塔、石造の十三重塔と五輪塔、石室(いずれも国の重要文化財)などがある。なお、岩船寺周辺には鎌倉時代のものと推定される石仏、石塔が多い。

[野村全宏]


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改訂新版 世界大百科事典 「岩船寺」の意味・わかりやすい解説

岩船寺 (がんせんじ)

京都府木津川市の旧加茂町にある真言律宗西大寺末の寺。山号は高雄山。〈いわふねでら〉,高雄山報恩院ともいう。当寺の縁起では行基開基,空海の甥智泉の中興とするが確証はない。興福寺末の随願寺(東小田原寺)の衰微により,弘安年中(1278-88)に報恩院,灌頂堂などを移して建立された。浄瑠璃寺とともに興福寺の別所でもあった。現今境内には1848年(嘉永1)に建立された本堂内に946年(天慶9)の巨大な木造阿弥陀如来座像,1442年(嘉吉2)の三重塔などが散在している。
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百科事典マイペディア 「岩船寺」の意味・わかりやすい解説

岩船寺【がんせんじ】

京都府相楽郡加茂町(現・木津川市)にある真言律宗の寺。〈いわふねでら〉とも。729年行基が聖武天皇の勅願により創建したと伝える。現在,本堂,三重塔,庫裏などがあり,三重塔は三間三層本瓦葺(ぶき)で1442年の建立。本堂の阿弥陀如来座像は,946年の造像銘をもつ一木造で,日本美術史の基準作例となっている。
→関連項目加茂[町]

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世界大百科事典(旧版)内の岩船寺の言及

【岩船寺】より

…京都府相楽郡加茂町にある真言律宗西大寺末の寺。山号は高雄山。〈いわふねでら〉,高雄山報恩院ともいう。当寺の縁起では行基開基,空海の甥智泉の中興とするが確証はない。興福寺末の随願寺(東小田原寺)の衰微により,弘安年中(1278‐88)に報恩院,灌頂堂などを移して建立された。浄瑠璃寺とともに興福寺の別所でもあった。現今境内には1848年(嘉永1)に建立された本堂内に946年(天慶9)の巨大な木造阿弥陀如来座像,1442年(嘉吉2)の三重塔などが散在している。…

※「岩船寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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