コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

蜘蛛の糸 くものいと

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

蜘蛛の糸
くものいと

歌舞伎舞踊曲。常磐津本名題『蜘蛛梓弦 (あずさのゆみはり) 』。明和2 (1765) 年江戸市村座で『降積花 (ふりつむはな) 二代源氏』の1番目大切所作事として初演。作詞金井三笑,作曲佐々木市蔵。土蜘蛛を9世市村羽左衛門が演じ,1世常磐津文字太夫が出語りをつとめた。文字太夫の代表曲であり,能『土蜘蛛』や古浄瑠璃を経て歌舞伎舞踊に取入れられた,いわゆる土蜘蛛物の最古の曲。源頼光にとりついて殺そうとする土蜘蛛の精が,宿直する渡辺綱と坂田金時の前に切禿 (きりかむろ) ,座頭,山伏と化けて登場し,幕切れには正体を現すというもの。これを改訂した曲に『来宵蜘蛛線 (くべきよいくものいとすじ) 』がある。天保8 (1837) 年江戸中村座初演。3世桜田治助作,4世岸沢式佐作曲。切禿に代えて傾城とした。明治に入ってさらにこれを改めたものが,3世河竹新七による改作『蜘蛛宿直噺 (くものいとおよづめばなし) 』である。 1889年東京千歳座初演。今日ではこの曲が舞踊に用いられ,切禿,座頭,傾城と変ることが多い。全体の構成は,100本のろうそくを1本ずづ消しながら行われる怪談会「百物語」の趣向となっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

くも‐の‐いと【蜘蛛の糸】

クモの出す糸。出糸腺から出る粘液が大気に触れて糸状となったもの。測量用望遠鏡の十字線などに利用される。 夏》
[補説]作品名別項。→蜘蛛の糸

くものいと【蜘蛛の糸】[作品名]

歌舞伎舞踊常磐津(ときわず)。本名題「蜘蛛糸梓弦(くものいとあずさのゆみはり)」。金井三笑作詞、初世佐々木市蔵作曲。明和2年(1765)江戸市村座初演。土蜘蛛の精が、切り禿(かむろ)の少女・仙台座頭・山伏と変化するところが眼目
芥川竜之介の短編小説。大正7年(1918)「赤い鳥」誌に発表。悪党カンダタが、釈迦(しゃか)が天から下ろした蜘蛛の糸にすがって極楽へと上るが、我欲のために再び地獄へと落ちる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

くものいと【蜘蛛の糸】

歌舞伎舞踊の一。常磐津ときわず。本名題「蜘蛛糸梓弦くものいとあずさのゆみはり」。金井三笑作詞。1765年江戸市村座で初演。能「土蜘蛛」に基づく。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

蜘蛛の糸
くものいと

歌舞伎(かぶき)舞踊劇。常磐津(ときわず)。本名題(ほんなだい)『蜘蛛糸梓弦(くものいとあずさのゆみはり)』。金井三笑(さんしょう)作。初世佐々木市蔵作曲。1765年(明和2)11月、江戸・市村座で9世市村羽左衛門らにより初演。顔見世狂言『降積花(ふりつむはな)二代源氏』の一番目大詰で、土蜘蛛(つちぐも)の精が切禿(きりかむろ)のお茶汲童(ちゃくみわらべ)、仙台座頭、山伏と次々に化けて源頼光(らいこう)の寝所を襲うが、梓巫女(あずさみこ)に見顕され、坂田公時(さかたのきんとき)、碓井貞光(うすいさだみつ)に退治されるという筋。「土蜘蛛物」の舞踊劇としても、現存する常磐津曲としても最古の作。後世、改訂作が多く生まれ、現代では3世河竹新七作『蜘糸宿直噺(くものいとおよづめばなし)』(1889)が流行。土蜘蛛が切禿・仙台座頭・傾城(けいせい)の3役に化ける趣向で、座頭の仙台浄瑠璃(じょうるり)のくだりは原曲のままで眼目になっている。[松井俊諭]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

蜘蛛の糸の関連キーワード常磐津 千東勢太夫山登検校(初代)土蜘蛛・土蜘芥川 龍之介土蜘蛛(能)大藤 信郎高畑こと美山田検校常磐津節白石麻樹平 三郎菖蒲理乃切り禿雪迎えときわ透通す細蟹の犍陀多補説細蟹

今日のキーワード

あおり運転

危険運転の一種で、前方を走行する車両に対する嫌がらせ行為。車間距離を極端に詰めて道を譲るように強要する、猛スピードで追い回す、ハイビームやパッシング、並走しての幅寄せなどで威嚇する、といった行為が該当...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

蜘蛛の糸の関連情報