(読み)コ

デジタル大辞泉 「蠱」の意味・読み・例文・類語

こ【蠱】[漢字項目]

[音]コ(漢)
まじないに使う虫。人を害する呪い毒薬。「蠱毒巫蠱ふこ
惑わす。乱す。「蠱惑

まじ【×蠱】

蠱物まじもの」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「蠱」の意味・読み・例文・類語

こ【蠱】

  1. 〘 名詞 〙 易の六十四卦一つ。上卦は艮(ごん)(山)、下卦は巽(そん)(風)。山風蠱ともいう。蠱は故(こ)音通で、この場合は事の意。風が吹いて山林中の汚気を一掃するかたちから、旧弊を一新するさまを示すとされる。

まじ【蠱】

  1. [ 1 ] 〘 造語要素 〙 呪術の意を表わす。「まじこる」「まじなう」「まじもの」「まじわざ」など。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙まじもの(蠱物)
    1. [初出の実例]「さながら蠱(マジ)手練(てだれ)に、魑魅(すだま)よ、はららに逃ぐる如く」(出典:二十五絃(1905)〈薄田泣菫霜月一夕)

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普及版 字通 「蠱」の読み・字形・画数・意味


23画

[字音]
[字訓] まじない・まどわす・こびる

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 会意
蟲(虫)(ちゆう)+皿。〔説文〕十三下に「腹中の蟲なり」とするが、蠱は人を惑わす呪儀であるから、〔段注〕に「腹、蟲に中(あた)るなり」とよむべしという。卜辞に「貞(と)ふ。王の咼(禍)あるは、隹(こ)れ蠱ならざるか」とあり、巫女がその呪儀を行っていた。後世の媚蠱(びこ)左道といわれるものがそれである。漢代には巫蠱の変とよばれるような事件が頻発している。蠱法は、五月五日に、百虫を一器の中に入れて相食らわしめ、最後に残ったものにその呪能があるとされた。また人畜の類を埋めて呪詛する法があり、埋蠱(まいこ)という。蠱霊には、自由に風行するものもあると考えられ、風蠱という。一般の虫類にも禍をなすものがあり、〔周礼、秋官、庶氏〕に、「毒蠱を除くことを掌る」とみえる。

[訓義]
1. まじない、まじないに用いる虫、まじもの、まじわざ。
2. まどわす、まどう、みだす。
3. こびる、うるわしい。
4. わざわい、むしばむ、毒気
5. 腹の病。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕蠱 マドフ・ウタガフ・ミダル・タブロカス・マジワサ・ノロフ・ヤブル 〔字鏡集〕蠱 ツカフ・オモフ・マジナフ・タブロカス・トク・ヤブル・マサシ・マジワザ・コト・ミダル・マドフ・ミサヲ

[熟語]
蠱壊・蠱気蠱偽蠱獄・蠱・蠱殺蠱疾・蠱祝・蠱術・蠱女・蠱虫・蠱蠱蠹・蠱・蠱道・蠱毒・蠱佞・蠱媚・蠱敝・蠱冶・蠱誘・蠱惑
[下接語]
暗蠱・狂蠱・成蠱・蔵蠱・蛇蠱・毒蠱・巫蠱・埋蠱・妖蠱

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