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血液、造血器のしくみとはたらき けつえきぞうけつきのしくみとはたらき

家庭医学館の解説

けつえきぞうけつきのしくみとはたらき【血液、造血器のしくみとはたらき】

◎血液のはたらき
◎血液、造血器のしくみ
◎血液疾患による主要な症状

◎血液のはたらき
 からだをつくっている細胞は、酸素と栄養分を取り込んで、一種の燃焼をおこしてエネルギーを発生させ、みずからを更新したり、増殖したりして生命を維持しています(細胞の代謝(たいしゃ))。
 この代謝活動のもとである酸素と栄養分を、全身の細胞に送りとどける役目をしているのが血液です。
 酸素は、血液が肺の中を通るときに、二酸化炭素と交換されてとり入れられ、栄養分は、肝臓の中を通るときに血液にとり入れられます。
 この酸素と栄養分の豊富な血液が、動脈血(どうみゃくけつ)として心臓から全身に送り出されます。これによってうるおった細胞が代謝活動をすると、二酸化炭素や尿素窒素(にょうそちっそ)といった老廃物(ろうはいぶつ)ができます。
 この老廃物を集めて静脈血(じょうみゃくけつ)として運び、二酸化炭素は肺から、尿素窒素などは腎臓(じんぞう)でこして尿中に排泄(はいせつ)されるようにするのも、血液の役目です。
 この血液が、たえず全身をめぐっているために全身の細胞は生きることができ、あらゆる臓器や組織、全体としての生命が維持されているのです。
 全身をめぐる血液の量(ℓ)は、体重(kg)の約12分の1から13分の1です。

◎血液、造血器(ぞうけつき)のしくみ
 血液は、血球(けっきゅう)と呼ばれる形のある成分と、血漿(けっしょう)と呼ばれる形のない成分に分けることができます。
 血液の容積の約60%は血漿で、約40%が血球です。
●血球の種類とはたらき
 血球には、いくつかの種類があり、それぞれ特有のはたらきをもっています(図「血球のいろいろ」)。
 これらの血球には、それぞれの寿命があって、老化したものは、マクロファージ(大食細胞(たいしょくさいぼう))などによって食べられ、処理されます。
 処理のおもな場は脾臓(ひぞう)です。脾臓のはたらきが異常になって血球の破壊が進みすぎる病気では、脾臓を摘出することがありますが、肝臓(かんぞう)がその代わりにはたらくので、血液に古い血球がたまることはありません。
 骨の中心部にある骨髄(こつずい)という部分には造血細胞(ぞうけつさいぼう)という細胞があり、つねに新しい血球をつくって、破壊される血球を補っています。このため、骨髄を造血器(ぞうけつき)ということもあります。
 赤血球(せっけっきゅう) 正常な赤血球は円盤のような形をしており、直径が約7~8μm(マイクロメートル)(1μmは1000分の1mm)で、厚さは2μmくらいです。
 赤血球は、血液1mm3中に、男性で約500万個、女性で約450万個もあり、血球のほとんどは赤血球であるといってもいいほどです。赤血球の寿命は、約120日です。
 赤血球の表面は薄い膜で包まれており、その中にヘモグロビン(血色素(けっしきそ))という物質があります。
 ヘモグロビンは、たんぱく質と鉄が結合したもので、この鉄が酸素をとらえる中心的な役割をはたしています。
 つまり、新鮮な動脈血の赤い色は、鉄が酸化すると赤くなるのと基本的には同じもので、酸素が少なくなると、静脈血の黒っぽい色になります。
 代謝によって生じる二酸化炭素は、静脈血の血漿に溶けたりヘモグロビンにとらえられたりして肺に運ばれます。
 しかし、血液中の二酸化炭素は、からだの酸性とアルカリ性のバランスをとったりするうえで大事なはたらきをしていて、動脈血にも一定の量が溶け込んでいます。
 したがって、肺内の毛細血管から呼気のなかに排出される二酸化炭素は、血中の二酸化炭素の一部にすぎません。
 白血球(はっけっきゅう) 比較的大きな血球のうちで色がないもの、つまり赤血球以外のものを白血球といいます。
 健康な人の白血球は、血液1mm3中に、4000~9000個くらいあり、形や性質がちがう顆粒球(かりゅうきゅう)、単球(たんきゅう)、リンパ球(きゅう)に分けられます。
 顆粒球は、内部にある顆粒という部分の性質によって、さらに好酸球(こうさんきゅう)、好塩基球(こうえんききゅう)、好中球(こうちゅうきゅう)に分類されます。
 体内に細菌などの異物や炎症があると、好中球と単球が集まってきて、細菌などの異物を食べて(貪食作用(どんしょくさよう))処理をします。とくに単球は、血管より外に出るとマクロファージになると考えられています。
 また、好酸球はアレルギー(免疫のしくみとはたらきの「アレルギー反応」)に関係があり、好塩基球はさまざまな化学物質をたくわえています。
 リンパ球は、白血球の30%ほどを占めますが、リンパ液はほとんどリンパ球です。異物の認識と攻撃という免疫(めんえき)(「免疫のしくみとはたらき」)のはたらきの中心をになっており、自己であるしるし(主要組織適合抗原(しゅようそしきてきごうこうげん)またはヒト白血球抗原(はっけっきゅうこうげん)、HLA)をもった組織は攻撃せず、非自己のしるしをもった組織は攻撃するので、自己と非自己の区別に重要な役割をはたしています。
 リンパ球は、Tリンパ球(T細胞)、Bリンパ球(B細胞)、ナチュラルキラー(NK)細胞に分類されます。
 NK細胞は、直接にウイルスや腫瘍細胞(しゅようさいぼう)などを殺しますが、T細胞とB細胞は非自己(抗原)の情報を、ほかの免疫担当細胞に流したり、記憶したりして、おもに、抗体(こうたい)をつくる細胞(形質細胞(けいしつさいぼう))や特殊なT細胞が抗体をつくるようにしむけます。
 こうして再び、抗原が入ってくると、大量の抗体(たんぱく質)が待ち受けていて結合し、抗原は無力化されます。
 このように、リンパ球を含めて白血球がからだを守るしくみは複雑で、何段階にも分かれており、免疫担当細胞の協力によって、全体として効果的にはたらくようになっています。
 血小板(けっしょうばん) 顕微鏡でみると、細胞の小片のようにみえる小さな血球で、血液1mm3中、13~35万個含まれています。
 血小板には、血管が破れて出血がおこると、相互に結合してかたまりとなり(血栓(けっせん))、自然に出血を止めるはたらきのほか、血管などを修復するはたらきがあります。
 血栓の形成、血小板自体にある因子と血漿中の血液凝固因子などの協力で行なわれます。
●血漿(けっしょう)のしくみ
 血液中の液体の成分を血漿といい、その約90%は水分です。
 残りの大部分は、さまざまなたんぱく質や栄養分です。
 このたんぱく質の約60%は、アルブミンというもので、血液の浸透圧を保ったり、水に溶けない物質を輸送するはたらきをしています。
 残りのたんぱく質の多くは、免疫に関与している抗体などの免疫グロブリンと呼ばれるものです。
 また、血漿中には、血液凝固因子というものも含まれています。
 免疫(めんえき)グロブリン(Ig) 免疫のはたらきにおいて、抗原抗体反応をおこす抗体たんぱく質と、その類似たんぱく質をいいます。
 血液凝固因子(けつえきぎょうこいんし) 出血がおこって、血液が自然に固まるとき、血小板と協力してはたらく因子が血漿中にあることがわかっています。現在、12種類の因子が確認されており、Ⅰ~(ただしⅥは欠番)までの番号がついているものがあります。

◎血液疾患による主要な症状
 赤血球の数や質に異常がおこると、貧血(ひんけつ)(「貧血とは」)になります。顔面蒼白(がんめんそうはく)、動悸(どうき)、息切れ、手足のむくみ、耳鳴(みみな)り、だるく疲れやすい、めまいなどの症状が現われます。
 造血組織である骨髄に異常があると、肝臓や脾臓が代わりに血球をつくるようになるので、脾臓が腫(は)れる(脾腫(ひしゅ))ことがあります。膨満感(ぼうまんかん)、左上腹部の腫れや痛みを感じたり、大きく腫れると左上腹部に激痛がおこります。
 血小板の減少や機能の異常、血液凝固因子の異常、血管の異常があると、出血傾向(しゅっけつけいこう)(「出血傾向とは」)がみられます。歯ぐき・鼻・皮膚などで出血しやすくなり、血が止まりにくくなります。
 また、皮膚に紫斑(しはん)ができやすくなるのも特徴です。
 とくに、血小板に異常があると、衣類がこすれる場所に点状出血斑(てんじょうしゅっけつはん)がみられることがあります。点状出血斑は、白血病(はっけつびょう)などの重い血液疾患におこりやすいものなので、注意が必要です。

出典|小学館家庭医学館について | 情報

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