出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
厚手の陶製の鍋で、土鍋の一種。雪平鍋とも書く。単に「ゆきひら」ともいう。語源は、在原行平(ありわらのゆきひら)(818―893)が須磨(すま)で海女(あま)に塩を焼かせたという故事があり、塩を焼くのに用いた器にちなんだものといわれている。蓋(ふた)のほか、持ち手と注(つ)ぎ口がついている。天明(てんめい)(1781~89)の末ごろからつくられるようになり、それまで用いられていた一人前用の鋳物製の小鍋にとってかわるようになったといわれる。加熱が穏やかで保温力がよいので、粥(かゆ)や重湯(おもゆ)を炊くのに適している。なお、アルミニウムや銅の打出鍋で、木製の柄のついた片手鍋も行平鍋という。
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