ガス灯(読み)がすとう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガス灯」の意味・わかりやすい解説

ガス灯
がすとう

ガスの燃焼で発する光を利用する灯火。1798年にイギリス人ウィリアム・マードックによって実用化された。その後1812年にロンドンで、19年にはパリでガス事業が開始され、世界の大都市にガス灯が普及していった。日本では1872年(明治5)にフランス人アンリ・プレグランの設計・監督により、横浜の馬車道本通り―大江橋間で初めて使用され、東京では74年に浜崎町にガス発生所が設けられて京橋―金杉橋間にガス街灯が点火された。夕刻点灯夫が点火して回り、翌朝また消灯に回った。屋内灯としては、97年ごろから一般家庭の需要も漸増したが、使用者は上流家庭の一部に限られ、それも電灯石油ランプとの混用であった。この間白熱マントルの使用など光質の改良も行われたが、灯火としては電灯に対抗できず、やがて廃れた。

[山内まみ]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガス灯」の意味・わかりやすい解説

ガス灯
ガスとう
gas lamp

都市ガスの燃焼による灯火で,石油ランプから電灯への過渡期に用いられた。イギリスの発明家 W.マードックによって実用化され広く使われるようになり (1792) ,日本では明治4 (1871) 年に横浜外人居留地に初めて点灯され,1874年には銀座煉瓦街街路灯がついて人々を驚かせた。ガラス製の球形火屋 (ほや) の中にガスバーナがあり,そこにマントルを取付ける。マントルは木綿で編んだ籠形のものを,硝酸トリウムに少量の硝酸セリウムを混じた溶液に浸したもので,最初の点灯でトリウムセリウムは酸化物となり,火熱により強い光を放つ。現在は注文制によりガス会社で扱っている。

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