イギリスの歴史家トマス・カーライルの著作。「トイフェルスドレック氏の生活と意見」という副題にあるように、架空のドイツ人教授の著書を翻訳、紹介するという形式で書いた一種の象徴論。1833~34年に雑誌に連載発表されたのち、36年アメリカのボストンで、38年にイギリスで刊行された。全体は2部に分かれ、表題の『サーター・リサータス』(「つぎはぎの仕立屋」の意)から想像される衣装哲学の部分は、宇宙のあらゆる象徴、形式、制度はしょせん一時的衣装にすぎず、動かぬ本質はそのなかに隠れてある点を多面的に例証したもの。
一方著者の教授を紹介した小説的部分は、実は教授の仮面を借りたカーライル自身の精神的自叙伝で、なかでも美しい文体でロマン主義的魂の苦悩とその超克を語った「永遠の否定」「無関心の中心」「永遠の肯定」の3章は有名である。全体としてドイツ・ロマン派、とりわけジャン・ポール・リヒターの影響が濃いといわれている。
[前川祐一]
『石田憲次訳『衣装哲学』(岩波文庫)』
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