布を上下交互に細く裂いて長くつなぎ,これを緯糸とし,麻糸や木綿糸を経糸にして並幅に織った織物。〈さっこり〉〈さくり〉〈つづれ〉〈どんざ〉などとも呼ばれる。木綿の自給が困難で,流通面も不備であった東北,北陸,山陰あるいは交通不便な山間地,漁村などでは,明治のころまで木綿は最も貴重な衣類であった。したがって,古い衣類でもわずかな良い部分を裂いて用いるなど極限まで利用し,ぼろ織とも呼ばれる。重いのが難であったが,丈夫で冬は暖かく,凹凸があるため夏は涼しかったという。島根県の例では一代に裂織の野良着が3着あれば足りるというほど丈夫で経済的であった。またモスリンを用いて織った裂織の半幅帯は,しなやかで締めやすく,とくに野良帯として最適であった。今日でも帯や敷物などに用いられている。
執筆者:日浅 治枝子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…対馬のハギトウジンは前後身ごろに,合わせて30枚もの色,柄とりどりの布を巧みに接ぎ合わせてつくってある。また,悪くなった衣服の良い部分を裂いて織る裂織(さきおり)など,衣料の経済性が重視されたが,それらはやがて独特の刺子(さしこ)や,接ぎ合せによる美を生み出している。青森の津軽こぎんは著名である。…
※「裂織」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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