製氷(読み)セイヒョウ(その他表記)ice manufacture

デジタル大辞泉 「製氷」の意味・読み・例文・類語

せい‐ひょう【製氷】

[名](スル)人工的に氷をつくること。また、つくられた氷。「製氷室」

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精選版 日本国語大辞典 「製氷」の意味・読み・例文・類語

せい‐ひょう【製氷】

  1. 〘 名詞 〙 氷をつくること。水を冷却して人工的に氷を製造すること。また、つくられた氷。
    1. [初出の実例]「製氷(セイヘウ)は近年各地に製造者有と雖も」(出典風俗画報‐三二号(1891)人事門)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「製氷」の意味・わかりやすい解説

製氷
せいひょう
ice manufacture

水を冷却凍結して、工業的に氷を製造する操作をいう。一般に、清浄な上水を金属製直方形の結氷缶ice canに入れ、これを零下10℃程度の寒剤(ブライン)中に浸漬(しんし)して、1~2昼夜の時間をかけて凍結させる。寒剤の入った大型タンクを製氷槽という。原料水が上水以外の場合には、溶存している有害な無機物、有機物および微生物を除去する精製工程が必要となる。結氷缶には規格があり、通常、内容積135キログラム(大約寸法260mm×560mm×1200mm)のものが用いられており、製品は適当に切断または破砕して使用される。

 氷は食用または食品保冷用に使用されることが多い。食品衛生法では、化学的、微生物的に清浄であることのほか、透明であることも要求されている。透明な氷を得るため、製氷中は結氷缶中の未凍結部分に空気泡を緩やかに吹き込み、攪拌(かくはん)動揺させながら凍結させてゆく(最終段階では空気吹き込みを止めるので氷中心部には不透明層が残るが、これは結晶構造上の問題であり、汚染などの心配はない)。

 もっと短時間能率よく製氷する方法も種々考案され実用されており、製品の氷の形状円筒形、小立方形、中空形、フレーク状、雪状などのものがある。その一例として、使用上の便利さから、家庭用冷凍庫でつくられるものと同様な小立方形の製品(キューブ・アイスダイス・アイスなどとよばれている)が工業的に生産され、あるいは大型家庭用冷凍庫規模の装置連続自動的に小口生産され、市販されている。

[河村祐治]


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百科事典マイペディア 「製氷」の意味・わかりやすい解説

製氷【せいひょう】

氷をつくること。工業的製氷は,そのほとんどがアンモニア冷媒とする冷凍機を用い,製氷槽に水を入れたトタン板製の氷かんを並べ,ブライン(塩水)の塩化カルシウム水溶液を循環させて冷却,凍結させる。ふつう角形塊氷を作るが,パックアイス(雪状氷),フレークアイス(細片氷)なども作られる。日本の製氷業は水産物冷蔵用などを中心に発展したが,漁船冷凍設備の発達,物流上の冷凍・冷蔵用の倉庫の一般化,家庭での冷凍庫,電気冷蔵庫の普及によって,工業的製氷は二次的なものとなった。

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世界大百科事典(旧版)内の製氷の言及

【水産加工】より

…明治維新後は在来技術の改良と外国技術の導入が積極的に行われ今日に至っている。 明治以降の特色は機械化が急速に進み多くの製品で大量生産が可能になったことで,そのおもなものは缶詰加工,練製品および冷凍すり身製造,調味加工品製造などの各技術で,関連するものとして製氷・冷凍技術がある。
[缶詰]
 日本における缶詰製造は,1871年(明治4)長崎の松田雅典がフランス人の指導をうけて試作したのが初めといわれる。…

※「製氷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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