褐錫鉱(読み)かっしゃくこう(その他表記)stannoidite

最新 地学事典 「褐錫鉱」の解説

かっしゃくこう
褐錫鉱

stannoidite

化学組成鉱物直方晶系,空間群I222,格子定数a1.0767nm, b0.5411, c1.6118,単位格子中1分子含む。褐色がかった真鍮色,金属光沢塊状。反射光で黄褐色味を帯びた灰色劈開なし,硬度約4,比重約4.5(測定値),約4.68(計算値)。Fe2⇌Zn置換は完全に行われる。多金属鉱脈鉱床,スカルン鉱床,別子型鉱床から黄銅鉱・安四面銅鉱黄錫鉱モースン鉱などとともに産出。原産地は岡山県金生こんじよう鉱山で,黄錫鉱との類似性から命名参考文献M.Shimizu et al.(1987) Canad. Min., Vol.25

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「褐錫鉱」の意味・わかりやすい解説

褐錫鉱
かっしゃくこう
stannoidite

硫化鉱物の一つ。1969年(昭和44)加藤昭(あきら)(1931― )により岡山県金生(こんじょう)鉱山(閉山)から記載された新鉱物。それまで「褐色黄錫鉱」あるいは「六方黄錫鉱」とよばれて不完全に記載されていた相について完全なデータを出したもの。高温熱水鉱床、接触交代鉱床スカルン型鉱床)、ペグマタイト、ある種の含銅硫化鉄鉱床中に産し、黄銅鉱、斑(はん)銅鉱などと共存する。これまで兵庫県生野(いくの)鉱山(閉山)、同明延(あけのべ)鉱山(閉山)、栃木県足尾鉱山(閉山)、岡山県柵原(やなはら)鉱山(閉山)などから確認されている。和名は外観に基づく最初の仮の名称に、英名は「類似」を示す接尾語‐oidを「鉱物」を示す接尾語‐iteの前に入れて、黄錫鉱stanniteとの外観上の類似性を示したもの。2006年アルゼンチンからゲルマニウム(Ge)置換体が確認され報告されているが、鉱物学的諸性質が得られていない。

[加藤 昭 2016年2月17日]


褐錫鉱(データノート)
かっしゃくこうでーたのーと

褐錫鉱
 英名    stannoidite
 化学式   Cu8(Fe2+,Zn)Fe3+2Sn2S12
 少量成分  Ag,Ge
 結晶系   斜方(直方)
 硬度    ~4
 比重    4.68
 色     真鍮褐
 光沢    金属
 条痕    暗褐灰
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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