日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄錫鉱」の意味・わかりやすい解説
黄錫鉱
おうしゃくこう
stannite
高温から中温の熱水鉱脈鉱床、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)、ペグマタイト中に産する、黄銅鉱に近縁の硫化鉱物。黄銅鉱・閃(せん)亜鉛鉱などとよく共存する。亜鉛置換体の亜鉛黄錫鉱kësterite(化学式Cu2ZnSnS4)、銀置換体のオカール鉱hocartite(Ag2FeSnS4)、カドミウム置換体のツェルニー鉱černýite(Cu2CdSn4)、ゲルマニウム置換体のブリアル鉱briartite(Cu2(Fe2+,Zn)GeS4)などとともに黄錫鉱群を形成する。外見上は黄銅色と鉄灰色の中間色で特徴づけられる。命名は化学成分による。
[加藤 昭 2016年1月19日]