西別川(読み)にしべつがわ

日本歴史地名大系 「西別川」の解説

西別川
にしべつがわ

釧路支庁管内川上かわかみ標茶しべちや町と別海町を流れる二級河川。流路延長七七・五キロ(うち指定区間七三・八キロ)流域面積四四九・六平方キロ。摩周ましゆう南東標茶町内西別岳山麓の、標高約二五〇メートル付近から湧き出る水流を集めて南東へ流下し、シワンベツ川・ポンベツ川・ポンオンネベツ川・オンネベツ川・然内しかるんない川などの支流を合せながら東流して、風蓮ふうれん湖北方の本別海ほんべつかい根室湾に注ぐ。「東蝦夷地場所大概書」にはネモロ場所内の川の名称として「ニシベツ」が記され、玉虫「入北記」には「此幅百二三十間余モアルベシ」(安政四年八月一六日条)とみえる。古くから鮭の遡上する川として知られ、鮭種子川と称されていたという(「事業報告」第三編)。一七八五年(天明五年)幕府の蝦夷地調査の際、当川の塩切鮭が江戸に初めて送られ(蝦夷草紙)、幕府直轄地となった直後の一八〇〇年(寛政一二年)には、将軍に献上された(「子モロ年中行事」市立函館図書館蔵)

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改訂新版 世界大百科事典 「西別川」の意味・わかりやすい解説

西別川 (にしべつがわ)

北海道東部の川。摩周湖南東の西別岳の斜面に源を発し,根釧(こんせん)台地をほぼ東流して,別海(べつかい)で根室海峡に注ぐ。流路延長80km,流域面積約440km2。大正末期ごろから移民によって開拓された上・中流部の原野では酪農と畑作が営まれているが,下流部は低温な泥炭地で未開発のままである。水源地域では豊富な地下水が湧出,サケ・マスの孵化場が設けられている。川沿いに網走市根室市を結ぶ国道243号線が通じる。
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百科事典マイペディア 「西別川」の意味・わかりやすい解説

西別川【にしべつがわ】

北海道東部の川。長さ74km,流域面積442km2。摩周湖南東の西別岳に発し,東流して火山灰におおわれた台地を刻み,泥炭湿地をつくって別海で根室湾に注ぐ。流域は根釧(こんせん)原野の一部で,道東開拓の中心。古くからサケの捕獲で知られ,塩切鮭は江戸にも送られ,将軍に献上された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「西別川」の意味・わかりやすい解説

西別川
にしべつがわ

北海道東部を東流して根室湾(ねむろわん)に注ぐ川。延長65キロメートル、流域面積440平方キロメートル。摩周湖東方の西別岳(800メートル)に発し、根釧(こんせん)台地を東流する。流域は日本の代表的酪農地域で、広大な草地に近代的なスチールサイロが並ぶ景観が美しい。

[進藤賢一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西別川」の意味・わかりやすい解説

西別川
にしべつがわ

北海道東部を流れる川。摩周湖南東岸の西別岳 (800m) に源を発し,根釧台地を南東ないし東へ流れて,根室海峡に注ぐ。全長 73.8km。下流部の河谷は低湿な泥炭地を形成。サケの遡上する主要河川の1つで,上流の標茶 (しべちゃ) 町虹別 (にじべつ) にサケ・マス孵化場がある。

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