西学(読み)セイガク(英語表記)Xī xué

デジタル大辞泉 「西学」の意味・読み・例文・類語

せい‐がく【西学】

西洋学問

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精選版 日本国語大辞典 「西学」の意味・読み・例文・類語

せい‐がく【西学】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 西郊にあったところから ) 中国、周代の小学のこと。〔礼記‐祭義〕
  3. 西洋の学問。
    1. [初出の実例]「西学万一悖逆誤解仕共和廷 替等相唱 類 生候ては以ての外の事にて」(出典:湊川神社願‐明治六年(1873)五月二二日(法規分類大全))
    2. [その他の文献]〔周礼政要‐通訳〕

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改訂新版 世界大百科事典 「西学」の意味・わかりやすい解説

西学 (せいがく)
Xī xué

中国で西洋の文化全般を総称した語。17~18世紀の間,イエズス会士たちが中国に来たころにできた語であろう。マテオ・リッチをはじめとする宣教師たちは,このとき伝道の手段として天文学,数学を主とする最新の科学技術を中国にもたらしたが,それは当時,改暦と正しい暦計算の必要に迫られていた明王朝に歓迎された。徐光啓李之藻(りしそう)らの高級官僚は積極的に西学を摂取し,科学技術書のみならず,宗教,哲学の書も大量に中国語に翻訳され,知識人の間にかなり浸透した。しかし,王朝交替期の戦禍と新王朝のキリスト教弾圧のために,西学もしだいに衰微した。

 その後,アヘン戦争(1840)にはじまる欧米列強の侵略と,たび重なる中国の敗北は,知識人の華夷意識を大きく動揺させ,再び西学に目が向けられるようになる。《海国図志》を著した魏源は,西洋事情とともに欧米の科学技術や産業の優秀性に,いち早く注意した一人である。そして魏源を継承して,軍事を中心とする殖産興業を目的とした李鴻章らの洋務運動が推進された。その指導理念となったのは,馮桂芬(ふうけいふん)の〈中体西用論〉である。江南製造総局翻訳館(1868設立)による膨大な西書翻訳事業も,その理念にもとづいている。当時,相当な量にのぼる中国語訳の外国書(西書)は,知識人たちの外国認識を深めるのに著しい効果を発揮した。彼らはしだいに政治制度改革,すなわち変法論へ向かうことになった。西欧列強の蚕食に悩む病める中国の現状の原因を科学知識の不足に求めた梁啓超は《西学書目表》(1896)を,そして徐維則は《東西学書録》(1899)を著した。これはこの時期に翻訳された西書のリストであり,これによって,当時の西学の盛況一端をうかがうことができる。
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