正式には財団法人博物館明治村。愛知県犬山市所在。約100万m2の敷地に明治時代の建築を中心に移築展示する。民間の文化財保存として日本屈指の事業である。第2次大戦後,明治建築の急速な破壊消滅を前に,建築家谷口吉郎が中部財界の指導者であった名古屋鉄道の土川元夫(1903-74)と図り,1961年明治建築の保存活用を目的に準備委員会として発足した。翌年財団法人認可,入鹿池西側の当初50万m2の敷地に,63年西郷従道邸(重要文化財)移建着工を皮切りとして開村への準備が始まり,65年展示建築物15件で開館した。目的に〈明治の新しい精神に立脚した社会教育の振興〉をうたう。保存対象は明治にはじめて出現した,また途絶えてしまった建築を中心とし,それらを地勢に応じて7地区に配置している。展示建築は,品川灯台(1870),三重県庁舎(1879),聖ヨハネ教会堂(1907)など多数の重要文化財を含み,明治天皇御料車などの鉄道記念物も併せて展示する。近代建築の保存に果たした先行的役割は大きい。
執筆者:丸山 茂
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愛知県北西部、犬山市にある明治時代の代表的建造物を移築した野外博物館。面積100万平方メートル、入鹿(いるか)池の西岸に沿って広がる。建築家の谷口吉郎(たにぐちよしろう)と名古屋鉄道社長の土川元夫(つちかわもとお)の発案、経営は名古屋鉄道で1965年(昭和40)開村した。旧西郷従道(つぐみち)住宅、旧日本聖公会京都聖約翰(かん)教会堂(聖ヨハネ教会堂)、旧山梨県東山梨郡役所、旧品川灯台、旧菅島(すがしま)灯台付属官舎、旧三重県庁舎、旧札幌電話交換局舎、旧東松家住宅、芝居小屋旧呉服(くれは)座、旧伊勢郵便局舎(宇治山田郵便局舎)(以上、国指定重要文化財)のほか、明治の文豪幸田露伴(ろはん)住宅「過牛庵(かぎゅうあん)」、森鴎外(おうがい)や夏目漱石(そうせき)が住んだ住宅、西園寺公望(さいおんじきんもち)別邸「坐漁(ざぎょ)荘」、帝国ホテル中央玄関、旧制八高の正門などもある。名古屋市から直通バスがある。
[伊藤郷平]
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