西川甚五郎(読み)にしかわじんごろう

改訂新版 世界大百科事典 「西川甚五郎」の意味・わかりやすい解説

西川甚五郎 (にしかわじんごろう)

近江商人西川家の2代目および9代目以降が襲名した名前。初代近江国蒲生郡出身で,はじめは越前方面へ魚類・塩物の行商を行ったが,やがて近江八幡に店を構え,1615年(元和1)には江戸日本橋に出店を開き,蚊帳畳表の販売に従事した。2代(1582-1675)はこれを継承し,近江蚊帳の特徴である萌葱(もえぎ)色を創案した。その後堅実な商法家業は発展し,江戸に別店,京都にも店を開く。9代(1804-62)は幕府御用弓師となり,江戸の弓販売を独占した。11代(1848-1905)は蚊帳製織工場を近江八幡に新設する一方,販路を朝鮮・台湾にまで広げ,布団の販売に着手し,さらに八幡銀行を創立衆議院議員になるなど,ひろく活躍した。
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朝日日本歴史人物事典 「西川甚五郎」の解説

西川甚五郎(初代)

没年:正保1(1644)
生年:天文18(1549)
安土桃山時代から江戸初期の近江商人。蚊帳・寝具商西川家の初代であり,通称仁右衛門。近江国蒲生郡南津田村(滋賀県近江八幡市)生まれ。永禄9(1566)年19歳で商売を開始した。天正13(1585)年,豊臣秀次八幡城下(近江八幡市)建設のころに同地に移住して,大工組と称する工務監督を務め,また堀川筋輸出入調査役に任じられているので,すでに有力町人となっていたと思われる。八幡町に本店山形屋を設け,本格的商業活動を開始した。初め能登(石川県)と近江の間を,塩干物と蚊帳の天秤棒,馬背,船を使った往返商売に従事し,次いで八幡特産の畳表を取り扱って東海道筋を商圏とし,元和1(1615)年江戸日本橋通一丁目に近江屋作兵衛の名前で蚊帳と畳表の店を開くに至った。日本橋を起点に五街道の制度が設けられたのは慶長9(1604)年であり,仁右衛門はこの日本橋の最も橋よりに開店している。この一事をもっても機をみるに敏なその人となりを察することができる。<参考文献>『西川四百年史稿本』

(末永國紀)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

新訂 政治家人名事典 明治~昭和 「西川甚五郎」の解説

西川 甚五郎(13代目)
ニシカワ ジンゴロウ


肩書
元・参院議員(自民党),元・西川産業社長

生年月日
明治35年10月

出生地
滋賀県近江八幡市

学歴
早稲田大学専門部商科〔大正13年〕卒

経歴
天正年間から続く山形屋、のち東京・日本橋“西川ふとん店”13代目。昭和22年株式会社に改組。西川産業、近江蚊帳製造、滋賀ビル・日本橋西川ビル各社長、滋賀銀行取締役などを務めた。一方22年以来参院選に滋賀地方区から当選4回。参院決算委員長、25年大蔵政務次官、35年第1次池田内閣の北海道開発庁長官、自民党総務などを歴任した。

没年月日
昭和42年5月16日

出典 日外アソシエーツ「新訂 政治家人名事典 明治~昭和」(2003年刊)新訂 政治家人名事典 明治~昭和について 情報

20世紀日本人名事典 「西川甚五郎」の解説

西川 甚五郎(13代目)
ニシカワ ジンゴロウ

昭和期の実業家,政治家 元・西川産業社長;元・参院議員(自民党)。



生年
明治35(1902)年10月

没年
昭和42(1967)年5月16日

出生地
滋賀県近江八幡市

学歴〔年〕
早稲田大学専門部商科〔大正13年〕卒

経歴
天正年間から続く山形屋、のち東京・日本橋“西川ふとん店”13代目。昭和22年株式会社に改組。西川産業、近江蚊帳製造、滋賀ビル・日本橋西川ビル各社長、滋賀銀行取締役などを務めた。一方22年以来参院選に滋賀地方区から当選4回。参院決算委員長、25年大蔵政務次官、35年第1次池田内閣の北海道開発庁長官、自民党総務などを歴任した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「西川甚五郎」の解説

西川甚五郎(2) にしかわ-じんごろう

1849*-1905 幕末-明治時代の実業家。
嘉永(かえい)元年12月16日生まれ。寝具商西川家11代。蚊帳(かや)製織機械の導入,工場の新設など,近江(おうみ)蚊帳の衰退挽回につとめる。明治20年布団(ふとん)の販売をはじめる。八幡銀行,八幡製糸を創立した。31年衆議院議員。明治38年4月11日死去。58歳。近江(滋賀県)出身。名は重威(しげたけ)。屋号は山形屋。

西川甚五郎(3) にしかわ-じんごろう

1902-1967 昭和時代の実業家,政治家。
明治35年10月生まれ。寝具商西川家13代。西川産業,近江蚊帳(おうみがや)製造の社長をつとめる。昭和22年参議院議員(当選4回,自民党)。35年第1次池田内閣の北海道開発庁長官。昭和42年5月16日死去。64歳。滋賀県出身。早大卒。

西川甚五郎(1) にしかわ-じんごろう

1582-1675 江戸時代前期の商人。
天正(てんしょう)10年生まれ。寝具商西川家2代。蚊帳(かや)の改良につとめ,蚊帳地を萌葱(もえぎ)色にそめて縁どりを赤にし,近江(おうみ)蚊帳としてうりだした。延宝3年死去。94歳。近江(滋賀県)出身。屋号は山形屋。

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