西洋雑誌(読み)せいようざっし

精選版 日本国語大辞典 「西洋雑誌」の意味・読み・例文・類語

せいよう‐ざっしセイヤウ‥【西洋雑誌】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 西洋で発行されている雑誌洋雑誌
    1. [初出の実例]「床の間には西洋雑誌の附録らしいクリスマスの饗応(もてなし)のクロム絵を」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵女学者)
  2. [ 2 ] 啓蒙雑誌。慶応三年(一八六七)一〇月、柳河春三らによって創刊。江戸開物社発行。日本最初の月刊雑誌で、主に西洋の学術記事を訳載した。明治二年(一八六九)巻六で廃刊

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「西洋雑誌」の意味・わかりやすい解説

西洋雑誌
せいようざっし

洋学者柳河春三(やながわしゅんさん)が1867年(慶応3)10月に創刊したわが国最初の月刊雑誌。創刊の意図は、西欧において月々出版されているマガセイン(マガジン=雑誌)に倣い「広く天下の奇説を集めて、耳目を新(あらた)にせん」がためであった。内容は、西欧諸国の歴史や人物伝のほか、化学、植物、鉱物などに関する新しい知識の翻訳紹介が中心になっている。執筆者は柳河のほか、神田孝平(たかひら)、田中芳男(よしお)、宇都宮鉱之進、喫霞(きつか)仙史である。巻五まで発行して中絶、69年(明治2)9月、巻六を発行したが、柳河の病死により自然廃刊。木版、和紙小形本。発行所は江戸開物社。

[矢作勝美]

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改訂新版 世界大百科事典 「西洋雑誌」の意味・わかりやすい解説

西洋雑誌 (せいようざっし)

幕末・維新期に定期的に発行された日本最初の雑誌。洋学者柳川春三(やながわしゆんさん)が1867年(慶応3)10月に創刊し,69年9月に第6号で廃刊した。ヨーロッパの歴史,物理,化学などの啓蒙記事を掲載し,ヨーロッパの学問の啓蒙に貢献した。柳川のほか宇都宮三郎,神田孝平(たかひら),田中芳男らが執筆陣に加わっている。
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百科事典マイペディア 「西洋雑誌」の意味・わかりやすい解説

西洋雑誌【せいようざっし】

1867年柳河(やながわ)春三が創刊した雑誌。いわゆる〈マガジンmagazine〉を目ざすと称し,ヨーロッパの歴史や科学関係の啓蒙記事を載せ,第5号まで月刊,一時中絶後1869年第6号で廃刊。日本で初めて雑誌の名を冠した定期刊行物
→関連項目雑誌

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西洋雑誌」の意味・わかりやすい解説

西洋雑誌
せいようざっし

幕末から明治初年にかけて発行された民間啓蒙雑誌。慶応3 (1867) 年 10月創刊。神田孝平らの知識人が執筆し,社会事象のみならず,哲学,宗教から自然科学にわたって啓蒙的論述を行なった。発行者の柳河春三が死去して明治2 (69) 年廃刊。

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デジタル大辞泉プラス 「西洋雑誌」の解説

西洋雑誌

幕末期の洋学者、柳河春三(しゅんさん)が1867年10月に創刊した日本初の定期刊行雑誌。発行元は江戸開物社。ヨーロッパの歴史や人物伝、物理・化学などの情報を紹介。1869年9月までに6巻を刊行したが、柳河の病死により廃刊。

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世界大百科事典(旧版)内の西洋雑誌の言及

【雑誌】より

…もとは倉庫や貯蔵庫を意味したこの語が18世紀なかばには雑誌をさすことばとして定着して,アメリカ最初の雑誌が41年にフィラデルフィアで2誌生まれたときにも,その名は《アメリカン・マガジンAmerican Magazine》(創業者ベドフォードAndrew Bedford),《ゼネラル・マガジンGeneral Magazine》(同B.フランクリン)であった。日本最初の雑誌は1867年(慶応3)に柳川春三(やながわしゆんさん)が創刊した《西洋雑誌》である。これは,江戸幕府の洋書調所の洋学者たちの研究グループであった会訳社が発行主体となって,主としてオランダの雑誌から重要記事を翻訳編集したものであった。…

【雑誌広告】より

…山東京伝の黄表紙《箕間尺三人酩酊(みけんじやくさんにんなまえい)》(1794)を雑誌とみなすならば,それに載せた紙タバコ入れ店開業広告が(4)の最初のものとなる。 1867年(慶応3)刊行の《西洋雑誌》を日本雑誌の祖とすれば雑誌広告の嚆矢は巻5掲載の中外堂の書籍広告といえよう。徳富蘇峰の《国民之友》第6号(1887)に〈之に広告するの有益なる恐らくは日刊新聞の比に非ざるべし〉の社告があるように,雑誌広告は雑誌媒体の成長とともに注目を集めた。…

※「西洋雑誌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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