西田哲学(読み)にしだてつがく

精選版 日本国語大辞典 「西田哲学」の意味・読み・例文・類語

にしだ‐てつがく【西田哲学】

〘名〙 西田幾多郎およびその後継者たちの哲学説。また、その立場

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「西田哲学」の意味・わかりやすい解説

西田哲学
にしだてつがく

西田幾多郎の思想体系。日本初の独創的哲学と称せられ,大正から昭和初期にかけて大きな反響を呼んだ。参禅の体験をもとに,処女作善の研究』 (1911) における,すべての対立矛盾を統一的に説明する主,客分化以前の「純粋経験」を,さらに深く概念的に解明する根本原理を絶対無としての「場所」「弁証法的一般者」としてとらえた。この論理根底として,主語的論理に対する述語的論理,有の弁証法に対する絶対無の弁証法などを通して,いわゆる「絶対矛盾の自己同一」の弁証法を形成,これによって一切を体系的に説明しようとした。「無」を根底とする東洋的,禅的形而上学ともいうべきもので,従来西洋哲学をもそのうちに総合的に包括しうるものであるとする見方もある。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「西田哲学」の解説

西田哲学
にしだてつがく

西田幾多郎の構築した哲学体系。西田は生涯を通して処女作「善の研究」によって提出した純粋経験の論理化に努めたが,その背景にあった人生苦,金沢での参禅体験,何よりも哲学自体の東洋的色彩などが独自の魅力を構成し,それによって周囲に多数の人材を集めた。田辺元(はじめ)は西田哲学との対決を通して田辺哲学を生み出した。青年期の三木清戸坂潤にも大きな影響を与えた。

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世界大百科事典(旧版)内の西田哲学の言及

【西田幾多郎】より

…哲学者。近代日本の代表的哲学者として,その哲学はしばしば〈西田哲学〉と呼称される。石川県に生まれ,1894年東京大学哲学科選科を卒業,96年に金沢の第四高等学校講師,次いで教授となった。…

※「西田哲学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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