日本大百科全書(ニッポニカ) 「見合い」の意味・わかりやすい解説
見合い
みあい
縁談に際して、見知らぬ男女が仲人(なこうど)らの仲介のもとに会見すること。もともと婚姻は同一村落内の男女合意に基づく恋愛結婚が主流をなしていたから、見合いの必要はなかった。その後の村外婚・遠方婚はおもに家格や家柄を問題にしておこったもので、家長の意見や判断が重視され、ひいては当事者の立場が考慮される余地は乏しかった。事実、武家社会では、婚姻の当夜初めて相手の顔を見るというのが伝統であった。しかし庶民の間では、なんらかの形で当事者の接触を図ろうとする動きが現れ、男側が牛や馬を見たいなどと口実をつくって女の家に訪れたり、仲人の案内によって女の家に行き、茶菓の接待を受けたりする風であった。これらでは、わずかに男が女の容姿をかいまみる程度であった。明治中期、都市の発達、劇場・食堂の普及につれて、このような場所に見合いの席を設ける風が始まり、両人に直接面談させる機会を与えるようになった。こうして、見合いが縁談を進めるのに重要な手続と考えられることになり、昭和20年代まで見合い結婚が盛んに行われた。近来も見合いはけっして衰えてはいないが、単に男女接触の第一歩にすぎず、その後の交際を通じて意思の確認を求め、成否の結論も出すという状況である。そこで場合によっては、見合いから始まったのに恋愛にまで高まる例もみられる。
[竹田 旦]