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言語行為論 げんごこういろん speech act theory

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

言語行為論
げんごこういろん
speech act theory

イギリスの哲学者 J.L.オースティンによって提唱され,J.R.サールらによって展開された言語論。従来の言語論が命題の真偽を主として問題にしてきたのに対し,文の発話は同時に行為の遂行となっていると指摘した。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

言語行為論
げんごこういろん
speech act theory

日常言語学派の一人ジョン・オースティンが提唱し、アメリカの哲学者ジョン・サールJohn Searle(1932― )などによって継承された言語理論
 オースティンは、命題の真偽値(事実に対応するか、しないか)を問題にしてきた従来の言語観を批判し、言語の使用が同時に「命令」「依頼」といった行為の遂行であることを明らかにした。たとえば、「明日あなたと会うことを約束する」と発言することは、(一定の条件の下でなされた場合)たんなる事態の描写ではなく、「約束」という社会的行為を遂行することであるとされる。オースティンは当初、こうした行為遂行的発話performative utteranceと、事実を記述する事実確認的発話constative utteranceとを峻別していたが、やがて、あらゆる発話に遂行性と記述性が内包されていると考えるようになった。つまり、事実確認的な発話の局面も含め、言語使用者は発話によって、(1)発話行為(文法的に適切な文を構成する行為)、(2)発語内行為(発話において-in-発話行為とは別に遂行される行為)、(3)発語媒介行為(発話によって-by-相手の感情や行動に影響を与える行為)という三つの行為を遂行している、と分析したのである。たとえば、「君はそれをすることができない」という発話は、(1)「君はそれをすることができない」という文法的に適切な文を構成する行為、(2)「『君』がそれを行うことへの私の抗議」という発語内行為、(3)「『君』を制止する」「『君』を悩ませる」といった発語媒介行為、という三つの行為局面に分けて分析することができる。発話の遂行性、言語の力forceに照準したこうした分析は、言語哲学を語用論的に展開する道筋をつけることとなった。
 オースティン以降、言語行為論はサールやバンダーベーケンDaniel Vanderveken(1949― )などによって、より体系的な形で理論化されることとなるが、その影響は言語哲学、語用論以外の分野にも及んだ。言語学者チョムスキーの生成文法理論から、社会学者ハバーマスの普遍語用論、クイア・スタディーズのジュディス・バトラーが展開する「パフォーマティビティ(行為遂行性)」論にいたるまで、オースティンが見いだした「言語の遂行性」の理論的重要性は学問的な垣根を越えて広く認識されている。[北田暁大]
『J・L・オースティン著、坂本百大訳『言語と行為』(1978・大修館書店) ▽J・R・サール著、坂本百大・土屋俊訳『言語行為』(1986・勁草書房) ▽ダニエル・ヴァンダーヴェーケン著、久保進監訳、西山文夫・渡辺扶美枝・渡辺良彦訳『意味と発話行為』(1997・ひつじ書房)』

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