1938年の内務省令によって招魂社が機構の充実整備をはかるために改称されたもの。護国神社制度は,1939年4月1日より施行,府県社以下神社に関する一般神社制度が適用された。指定護国神社と指定外護国神社よりなる。指定護国神社は,府県社に相当する社格をもち,神社に合祀する祭神の範囲が神社所在の該当府県一円の区域と規定され,1府県1社を原則とし,社名に某県護国神社と府県名を冠することとなっていた。ただし県によっては,広島県のように広島県護国神社と福山護国神社との2社が指定護国神社とされた地方もある。こうした事態は,前者が芸州藩設の招魂社,後者が福山藩設の招魂社より発達した護国神社であるように,旧藩の領域区分による県民感情を無視しえないためで,他県にもみられた。指定外護国神社は,村社相当の社格で,いままで神社を維持運営していた崇敬者区域を祭神合祀範囲とした。最初の指定護国神社は33社,第2次世界大戦の敗戦時までに46社となる。護国神社は,靖国神社につながるもので,国家の礼典をもってまつられた政治的性格が強い神社のため,敗戦後にその存続が最も問われた。現在は神社本庁傘下の宗教法人となり,特定氏子がないため遺家族や崇敬者を奉賛会などに組織する一方,結婚式場などの経営をこころみる神社もある。また自衛隊関係者の公務災害による死者を祭神として合祀したことは政教分離上の問題となっている。
執筆者:大濱 徹也
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国事および戦争殉難者の霊を祀(まつ)った神社。1939年(昭和14)、従前の招魂社(しょうこんしゃ)を改称したもの。幕末から明治維新前後の国事および戦争殉難者のために、各藩はそれぞれ招魂場を設けて慰霊祭を行った。また1868年(明治1)には京都東山に霊祠(れいし)(現在の京都霊山(りょうぜん)護国神社)が設けられ、各地の殉難者の霊が合祀(ごうし)された。翌年には東京招魂社(現在の靖国(やすくに)神社)が創立された。これらの招魂社は全国に100余社となり、75年にはすべての招魂社の祭神が東京招魂社に合祀された。1939年、招魂社の制度の不備を改めて護国神社と改称。第二次世界大戦前は内務省の管轄で、府県社、村社に準じて扱われたが、戦後は独立の宗教法人としてほとんどが神社本庁に所属する。各都道府県には1社以上の護国神社がある。
[飯尾直樹]
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招魂社の後身で,国に殉じた者や戦死者を合祀した神社。1939年(昭和14)に招魂社が護国神社と改称され,府県単位の指定護国神社と指定外護国神社の2種類となった。指定護国神社は府県一円を崇敬範囲とし,それぞれの府県名を社名にいれた。指定外護国神社は一般神社の村社に相当し,合祀できるのはその神社のそれまでの崇敬範囲のものとされた。第2次大戦後は神社本庁に属して宗教法人となった。
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…靖国神社および護国神社の旧称。1862年(文久2)福羽美静(ふくばびせい)(1831‐1907)らが討幕運動で非命の最期をとげた尊皇の志士を京都東山の霊山(りようぜん)にまつり,63年八坂神社境内に小祠を建立したのが最初である。…
※「護国神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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