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赤子塚 あかごづか

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

赤子塚
あかごづか

塚の中から赤子の泣き声が聞えるので,掘ってみたところ赤子が出てきて,のちにその赤子が高僧となったという伝説をもつ塚。死んだ子供の霊ははるかなる他界に行かず,村境の神が支配する近くの場所にとどまるとする信仰から生れたと考えられる。赤子塚やその周辺に村境の神が祀られることが多い (→塞の神 ) 。

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デジタル大辞泉の解説

あかご‐づか【赤子塚】

村境にあり、中から赤子の泣き声が聞こえてくると伝えられる塚。死んでも幼児の霊は遠くに行かず、村境の道祖神の付近にとどまると信じられた。

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世界大百科事典 第2版の解説

あかごづか【赤子塚】

死んだ妊婦を埋葬した土中から赤子の泣声が聞こえたという伝説を持つ塚。赤子塚が,峠,村の境,交通の要地などに位置しているのは,境の神つまり道祖神とのかかわりの深いことを示している。古来,赤子の霊は再生するものと信じられており,その管理は境の神にゆだねられていた。赤子を欲する者が境の神に祈願したり,身体の弱い子を境の神に願って強くしてもらうのはこの理由による。こうした境の神に対する信仰が,土中から赤子の泣声が聞こえたという伝説を生成させたのである。

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大辞林 第三版の解説

あかごづか【赤子塚】

中から赤子の泣き声が聞こえてくるという伝説のある塚。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

赤子塚
あかごづか

自然説明伝説の一つ。塚から赤ん坊の泣き声が聞こえ、掘ると赤子がいたという異常出生譚(たん)の伝説。多くは土葬した妊婦から生まれ、幽霊の母に育てられ、やがて高僧になったという筋を備える。およそ村境にあって、幼児の霊は道祖神(サエの神、境の神)が管理する範囲にとどまるという信仰に培われたもの。昔話「子育て幽霊」の伝説化で、「夜泣石」の伝説にも重なる。たとえば、茨城県筑波(つくば)町、東光院の頭白(ずはく)上人の伝説は次のとおりである。妻が出産のため実家に帰る途中で殺され、そのため夫は巡礼に出、5年後に隣村まできてだんご屋の婆(ばば)から奇妙なことを聞く。「毎夜若い女がだんごを買いにくるので、あとをつけると、藪(やぶ)のなかで赤子が泣いていた。その子は頭が雪のように白かった。東光院で養育している」という。そこで駆けつけた夫と親子対面するという話。
 同じ伝説は多く、福井県越前(えちぜん)市竜泉寺では通幻(つうげん)禅師のこと、岩手県花巻(はなまき)市石鳥谷(いしどりや)町大興寺では如幻和尚(にょげんおしょう)のことでその塚を如幻塚という。広島県廿日市(はつかいち)市光明寺の上達上人は、だんごのかわりに母の求めた飴(あめ)で養われる。静岡県島田市の夜泣石も同様の伝承である。子持地蔵として母の霊が現世に執着するため、供養すると幽霊は出なくなるという怨霊(おんりょう)信仰につながるものもある。村境の街道の交わる所、川境となる賽(さい)の河原も同様で、子供の幽霊が現れて足跡だけ残るというものもある。死した幼児の霊が管理された神によって再生する信仰で、魂をあの世から呼び返すことが可能と信じられた時代に、土地(塚)や石に結び付いて伝説化し、また高僧伝などに意匠されたものである。[渡邊昭五]
『柳田国男著『赤子塚の話』(『定本柳田国男集12』1963・筑摩書房・所収)』

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