(読み)ハダシ

デジタル大辞泉 「跣」の意味・読み・例文・類語

はだし【×跣/裸足/跣足】

《「肌足はだあし」の音変化》
足に何も履かないこと。また、その足。「―で歩く」 夏》
はだしで逃げる意から》その道の専門家もかなわないほどであること。「玄人くろうと―の演技
華族奥様も―って服装でしょう」〈小杉天外・初すがた〉
[類語]素足

せん【跣】[漢字項目]

[音]セン(呉)(漢) [訓]はだし
はだし。すあし。「跣足徒跣

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精選版 日本国語大辞典 「跣」の意味・読み・例文・類語

はだし【跣・裸足・跣足】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「肌足(はだあし)」の変化した語 )
  2. 地面の上などで、履物をはかない状態。また、その足。《 季語・夏 》 〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「南のはしより、はだしにて下りおはして」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
  3. その道にすぐれた人でもかなわないほどに見事であること。名詞に直接付けて用いることもある。「専門家はだし」「くろうとはだし」など。→はだしで逃げる
    1. [初出の実例]「貞安のお談義もはだしでござると、みなみな三尺ほどなよだれをたらしてかんじた」(出典:咄本・軽口大わらひ(1680)五)
  4. 口銭・手間賃などのまったくないこと。
    1. [初出の実例]「なんぼでっちでも今どきはだしでつかいにいかりゃせんは」(出典:咄本・諺臍の宿替(19C中))

跣の補助注記

平安時代初期から、訓点資料で「跿」「徒跿」「践」「蹤」などの訓として現われるが、「徒跿」は、徒の字義の誤解から、鎌倉時代に「かちはだし」の語が生み出された。

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普及版 字通 「跣」の読み・字形・画数・意味


13画

[字音] セン
[字訓] はだし・すあし・ふむ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は先(せん)。先は趾(あし)の先を主とする人の形。〔説文〕二下に「足、地に親(つ)くなり」とあり、徒跣をいう。跣・親は畳韻の訓。〔礼記、喪大記〕に「人の出づるや、徒跣す」とあるのは死喪のときの礼。先は先行の礼、徒跣を以てその地を践(ふ)む意で、反(へんばい)など、地霊に対する呪儀には、徒跣であることを必要とした。

[訓義]
1. はだし、すあし。
2. ふむ。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕跣 阿奈於止(あなおと)、、波太志(はだし)〔名義抄〕跣 ハダシ・ユク・スアシ/徒跣 アシノクビ・フム・ハダシ 〔字鏡集〕跣 フム・スアシ・ユク・アシヒク・ハダシ

[語系]
先syen、跣・洗synは声義近く、先は先行の礼。徒跣してゆき、終わってその足を洗うことをtzian(止(あしゆび)と舟・盤)、その爪切ることを(剪)tzianといい、みな一連の儀礼である。踐(践)dzianも声近く、これは地霊を安んずる践土(せんど)の儀礼をいう。

[熟語]
跣脚跣行跣子・跣足跣脱・跣跣歩跣露
[下接語]
踝跣・驚跣・行跣・赤跣・袒跣・徒跣・裸跣・露跣

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