戦地や駐屯地の将兵が、故郷の家族らに宛てて書いた郵便物。旧日本軍では、専用はがきが無償で支給されるなど士気を保つ上で奨励された。査察官により軍事機密や戦意を損なうと判断された文面は、黒塗りにされたり、削り取られたりしたが、検閲をすり抜けて届くものも多く、身近な歴史資料として近年再評価されている。
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戦時または事変の際に戦地またはこれに準ずる所にある軍人・軍属などから発信する郵便、また、それらの人にあてた郵便の総称。日本では1894年(明治27)日清(にっしん)戦争の始まる直前に軍事郵便取扱細則が定められた。原則として軍人・軍属が差し出す郵便物は無料で取り扱われ、逆に軍人・軍属あてに出すものに対しては正規の郵便料金が徴収された。陸上だけでなく、海上にある軍艦などの郵便もこれに準じた。また特例として、平時に海外駐屯の軍人に対して、通数を制限して無料の取扱いをした。この場合には郵便切手に「軍事」の文字を加刷したものを配布し、使用させている。1943年(昭和18)には、往復とも航空機により輸送される特別な「軍事郵便往復葉書」が発行された。第二次世界大戦後、46年(昭和21)2月をもって軍事郵便の取扱いはすべて廃止された。
[園山精助]
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