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農業公害 のうぎょうこうがい

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

農業公害
のうぎょうこうがい

農業を媒介として生じる公害。 (1) 農業が受けるものと,(2) 農業が引起すものとの2面がある。 (1) 農業地帯に工業が立地し,都市化が進むと,それにつれて農業用水工業用水,都市用水の間に複雑な競合関係が生じる。

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世界大百科事典 第2版の解説

のうぎょうこうがい【農業公害】

農業が原因者となって発現する公害。家畜の糞尿(ふんによう)や悪臭,騒音などによる人間生活環境の破壊,すなわち〈畜産公害〉が大きな問題だが,このほか施設園芸用のビニル廃棄物が山や河川,海などに投棄され,自然生態系を破壊する〈ビニル公害〉とか,広い水田地帯で稲わらを焼却し,煙が交通障害をひき起こす〈稲わら公害〉などといったものも日常化してきている。人体被害の発現までには至っていないが,農作物に散布される農薬が作物や土壌,水域に残留し魚類を毒死させたりする場合もあるので,農薬による環境汚染も消費者からはおおいに警戒されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

農業公害
のうぎょうこうがい
agricultural pollution

農産物の生産および加工に伴って発生する環境汚染をいう。生産段階で農薬や化学肥料などを散布することによって生じる場合のみならず、食料品の加工、小売段階で生じる場合、農業生産者の生活汚水などによる場合などが含まれる。
 すなわちわが国で問題になっている農業公害現象は、農薬使用による作物・家畜、生態系全体ひいては人体への汚染、化学肥料の多投による土壌・水質の汚染、ハウス園芸用のビニルなどの農業資材の廃棄による汚染、家畜糞尿(ふんにょう)などによる畜産公害、食品加工業の廃棄物による汚染、などである。このうちとくに、農薬や添加物の使用がもっとも重大なものであり、これらが食品に多量に含まれることにより、人間の健康と生命が直接脅かされている。
 農業公害のなかでも農薬汚染の進行が著しい。農薬の歴史で有名な殺虫剤にDDT(1938創製)やBHC(1943創製)があるが、これらが実際に農薬として使用され始めたのは1950年代である。当時は人畜無害と信じられ、DDTなどは人にもシラミやノミの駆除のために頭から全身散布したほどであった。また、イネのいもち病の防除のために有機水銀剤であるセレサンが多投され、あわせてメイチュウの駆除に有機燐(りん)剤のパラチオンやマラソンの使用が急増した。
 このような農薬使用によって全国各地で農薬中毒が発生し、またカドミウムが原因のイタイイタイ病や有機水銀が原因の水俣(みなまた)病などの公害病が社会問題化するにつれ、水銀剤と有機燐剤の有害性が検討され、1971年(昭和46)に農薬取締法の抜本的改正がなされて、DDT、BHC、245Tおよび有機燐剤の使用禁止が決定された。
 日本の高度経済成長期の農薬使用量はイスラエルに次ぎ、アメリカの7倍にも達していた。1970年以降は有機塩素剤の除草剤の使用が増加し、80年代にはダイオキシンの危険性が国内的にも国際的にも指摘された。日本の水田土壌の広範囲にわたって残留ダイオキシンが検出されており、とくに90年代後半以降、米や農作物への汚染が顕在化している。
 1999年(平成11)に農業基本法が改正されて新しい「食料・農業・農村基本法」が施行され、自然循環機能の維持増進によって農業の持続的発展を目ざす政策が開始された。それは農薬、化学肥料の適正使用を推進するものである。具体的には、農業環境三法といわれる「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」「肥料取締法」である。
 以上のような農業公害に対する対策にとって重要なことは、農産物の生産加工段階での農薬使用を最小限にしていく生産技術体系の確立と普及が不可欠である。すなわち、無農薬・無化学肥料の有機農法や減農薬・減化学肥料のIP農法(統合的生産方法)を消費者と提携し、産直方式によって実現していくことである。[松木洋一]
『R・カーソン著、青樹簗一訳『沈黙の春――生と死の妙薬』(新潮文庫) ▽尾形保他著『環境汚染と農業』(1975・博友社) ▽福島要一著『農薬も添加物のひとつ』(1984・芽ばえ社) ▽全国農業協同組合連合会編『環境保全と農・林・漁・消の提携』(1999・家の光協会) ▽河野修一郎著『日本農薬事情』(岩波新書)』

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