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農産物貿易 のうさんぶつぼうえき

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百科事典マイペディアの解説

農産物貿易【のうさんぶつぼうえき】

農産物需給の過不足を国をこえて取引すること。農産物不可欠消費財である食糧が主力であるため,輸出余力のある国は限られ,国際流通量は生産量に対して僅少で,気候などによる年次変動が大きい。
→関連項目農業農業基本法

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世界大百科事典 第2版の解説

のうさんぶつぼうえき【農産物貿易】

農産物貿易は,農業ないし農産物の社会的・自然的特性に基づき,工業製品の貿易とは異なった特質をもっている。
[特質]
 一般に,生産技術や需要が不変で,生産要素が国内では自由に移動できるが外国への移動はできないなどの条件のもとでは,各国は自由貿易を通して,比較優位をもつ生産物の生産に特化し,それ以外を輸入に依存したほうが経済的に有利である。工業製品では,この比較生産費による国際分業論の前提が比較的満たされるのに対し,農産物ではその前提が満たされない場合,あるいは政治的,社会的に自由貿易の実現が阻止される場合が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

農産物貿易
のうさんぶつぼうえき

農産物の国際間での売買取引をいう。世界の農産物に占める貿易量の割合は総じてそれほど大きくない。その割合が比較的大きい穀物で16%、牛肉は7%である(1981~83年平均)。農産物の商品的性格として遠隔輸送や保存に向かないものが多いことや、一国の食糧需要の内容は基本的には国内生産物を主体とすることによる。しかし他方では、農業生産は地域性が強いから輸入したほうが有利なものもある。流通技術が進歩し、物的流通上の制約が緩和されてくると、経済発展の過程で限られた国内資源の有効利用の観点から農産物貿易が重要な問題となってくる。国際分業論がそれであって、19世紀に唱えられた比較生産費説やその系譜を引く比較優位説はその理論的根拠を提示した。
 現在の農産物貿易には二つのタイプがある。一つは農業国と工業国との間の貿易であり、いま一つは工業国相互間のそれである。農業国と工業国はそれぞれ発展途上国と先進国とみてよいが、これらの国の間の貿易は第二次世界大戦後停滞的である。すなわち、発展途上国が経済発展の結果として農業に特化し、先進国との貿易が増大するという様相を示さず、むしろ工業化を目ざしているにもかかわらず、その成果があがっていないというのが実情である。これに対して工業国ないし先進国相互間の農産物貿易の発展は著しい。先進国はますます工業化に力を注いでいるが、工業化の進行は農業生産性を高め、また農工間所得均衡のための政策も農業振興に寄与した。国民経済における農業の地位や農業のなかの特定農産物部門の比重は国によって相違しているが、それぞれ得意とする農産物の輸出が行われている。
 世界の自由主義国で農産物輸入額が大きな国は旧西ドイツ、アメリカ、日本およびイギリスの順であるが、農産物輸入額に対する農産物輸出額の大きさは、それぞれ47%、228%、5%および52%であった。日本を除けば相当な額に達している。また農産物輸出額が大きな国はアメリカ、フランス、オランダおよび西ドイツの順であって、農産物輸出額に対する農産物輸入額の大きさは、それぞれ44%、78%、65%および213%であった(数字は1981~83年平均)。
 したがって、国際分業論の理論的根拠である比較優位説の適用に際しては次の注意が必要であろう。すなわち、農業と工業への分業でなく、生産要素の結合の仕方に基づく資本利用型、労働利用型、土地利用型および知識(技術)利用型の諸部門への分業として整理すべきである。農業か工業かではなくて、農業のなかのいかなる型の部門に特化するかが問われなければならない。
 現在、農産物貿易で当面する問題としては、まず第一に、先進国と発展途上国との貿易が停滞傾向にあり、途上国の経済発展が遅れ、貧困状態から脱却できないでいることがあげられる。「南北問題」がそれであるが、世界各国が一定のバランスを保った経済発展を図らなければならない。第二に、農産物輸入が輸入国の農業に与える影響の問題がある。農産物輸入が国内農業の全般的崩壊を招くとの考えは誤りであって、その国の条件に応じた比較優位性を発揮できる農産物、品種、品質を選択し、国際競争力の強化を図るなど、前向きの姿勢で農業再生の方針を確立しなければならない。第三に、農産物輸入は消費者価格引下げの効果があるが、他方では価格不安定が激しくなり、ときには食糧安全保障も脅かされるおそれもある。これに対しては、国際商品協定、二国間長期協定、輸入先国の分散、備蓄などを進め、また一定の国内生産の維持や緊急時の生産転換能力を残すことも必要である。[高橋伊一郎]
『佐々波楊子著『国際分業と日本経済』(1980・東洋経済新報社) ▽斎藤高宏著『農産物貿易と国際協定――相互依存経済への模索』(1979・農業総合研究所) ▽高橋伊一郎編『輸入農水産物――輸入制度と国内流通』(1982・農林統計協会)』

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世界大百科事典内の農産物貿易の言及

【農業】より

…貿易自由化に伴って,低廉なこれら農産物の海外からの輸入が激増したことが,実はその国内生産の減退と供給不足,自給率低下をもたらした主因であった。これに対して他方,米をはじめとして果物,野菜,畜産物(牛乳・乳製品,鶏卵,牛肉を除く食肉類),繭などは,1970年代以降,過剰生産の傾向が激化しているが,これも実は,上記の貿易自由化に伴う海外農畜産物の輸入激増の結果である(〈農産物貿易〉の項目参照)。これらの国内自給率が100%を割り,低下傾向にあるのは,米の場合は過剰生産対策として厳しい減産政策がとられてきた結果であり,その他のものについては,輸入増大が自給率低下を引き起こしているのであって,いずれにせよ過剰生産傾向にあることに変りはない。…

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