14巻。中国、南宋(なんそう)の朱熹(しゅき)(朱子)が友人呂祖謙(りょそけん)(東莱(とうらい))の協力を得て編集した書。朱熹の序文には1175年に10日ほどでつくりあげたとあるが、さらに何度も手を加えて3年後に完成した。北宋の四子――周敦頤(とんい)(濂渓(れんけい))、程顥(ていこう)(明道)、程頤(ていい)(伊川(いせん))、張載(ちょうさい)(横渠(おうきょ))の4人の学者――の遺著・語録のなかから重要な箇条を選び、「道体」「為学の大要」以下「聖賢の気象」に至る14項に分けて622条を収録した。書名は『論語』の「博(ひろ)く学んで篤(あつ)く志し、切に問うて近く思う」からとった。朱子学が盛行するに伴い、宋学の入門書として中国でも日本・朝鮮でも広く読まれた。注釈としては、南宋の葉采(しょうさい)の『近思録集解(しっかい)』と清(しん)の江永の『近思録集注(しっちゅう)』が主要なものである。
[山本 仁]
『湯浅幸孫編『中国文明選4・5 近思録』(1972・朝日新聞社)』▽『鈴木由次郎編『朱子学大系 第9巻 近思録』(1974・明徳出版社)』▽『市川安司編『新釈漢文大系37 近思録』(1975・明治書院)』
中国,南宋の朱熹(しゆき)が友人の呂祖謙と共に編纂した,北宋の道学(宋代に起こった新儒教)者の選集。題名は《論語》子張篇,〈博く学んで篤(あつ)く志し,切に問いて近く思う〉にもとづく。内容は,北宋の4人の道学者,周濂渓(しゆうれんけい)(周敦頤),程明道(ていめいどう)(程顥),程伊川(ていいせん)(程頤),張横渠(ちようおうきよ)(張載)の著作や語録のなかから,道学を修めるうえで重要な語を抜粋し,項目別に再構成したもので,道学への格好の入門書として,中国のみならず日本・朝鮮で広く読まれた。
執筆者:三浦 国雄
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…その門生たちに与えた最後の言葉は,〈あいともに堅苦の工夫(修業)をせよ〉であったという。著書には《四書集注(しつちゆう)》《近思録》《名臣言行録》《小学》《詩集伝》《周易本義》《儀礼(ぎらい)経伝通解》などがあるほか,詩や手紙などを収めた《朱文公文集》や,弟子との問答録《朱子語類》が伝わる。【三浦 国雄】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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