近思録(読み)キンシロク

デジタル大辞泉 「近思録」の意味・読み・例文・類語

きんしろく【近思録】

中国、宋代の思想書。14巻。朱熹しゅき呂祖謙りょそけん共編。1176年ころ編。周敦頤しゅうとんい程顥ていこう程頤ていい張載ちょうさいらの文章を14部門に分類して収める。宋学の入門書とされた。

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精選版 日本国語大辞典 「近思録」の意味・読み・例文・類語

きんしろく【近思録】

  1. 中国の儒学書。一四巻。宋の朱子呂祖謙撰。一一七六年刊。宋の道学者周濂渓程明道程伊川張横渠の言葉六二二条を一四門に分け収めたもので、性理学(宋学)の新しい思想を集大成し、国家形成の理論方法を示した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「近思録」の意味・わかりやすい解説

近思録
きんしろく

14巻。中国、南宋(なんそう)の朱熹(しゅき)(朱子)が友人呂祖謙(りょそけん)(東莱(とうらい))の協力を得て編集した書。朱熹の序文には1175年に10日ほどでつくりあげたとあるが、さらに何度も手を加えて3年後に完成した。北宋の四子――周敦頤(とんい)(濂渓(れんけい))、程顥(ていこう)(明道)、程頤(ていい)(伊川(いせん))、張載(ちょうさい)(横渠(おうきょ))の4人の学者――の遺著語録のなかから重要な箇条を選び、「道体」「為学の大要」以下「聖賢の気象」に至る14項に分けて622条を収録した。書名は『論語』の「博(ひろ)く学んで篤(あつ)く志し、切に問うてう」からとった。朱子学が盛行するに伴い、宋学の入門書として中国でも日本・朝鮮でも広く読まれた。注釈としては、南宋の葉采(しょうさい)の『近思録集解(しっかい)』と清(しん)の江永の『近思録集注(しっちゅう)』が主要なものである。

[山本 仁]

『湯浅幸孫編『中国文明選4・5 近思録』(1972・朝日新聞社)』『鈴木由次郎編『朱子学大系 第9巻 近思録』(1974・明徳出版社)』『市川安司編『新釈漢文大系37 近思録』(1975・明治書院)』

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改訂新版 世界大百科事典 「近思録」の意味・わかりやすい解説

近思録 (きんしろく)
Jìn sī lù

中国,南宋の朱熹(しゆき)が友人の呂祖謙と共に編纂した,北宋の道学(宋代に起こった新儒教)者の選集。題名は《論語》子張篇,〈博く学んで篤(あつ)く志し,切に問いて近く思う〉にもとづく。内容は,北宋の4人の道学者,周濂渓(しゆうれんけい)(周敦頤),程明道(ていめいどう)(程顥),程伊川(ていいせん)(程頤),張横渠(ちようおうきよ)(張載)の著作や語録のなかから,道学を修めるうえで重要な語を抜粋し,項目別に再構成したもので,道学への格好の入門書として,中国のみならず日本・朝鮮で広く読まれた。
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百科事典マイペディア 「近思録」の意味・わかりやすい解説

近思録【きんしろく】

中国,南宋の朱熹(朱子)と呂祖謙とが編んだ書物。北栄の周敦頤(濂渓),程【こう】(明道),程頤(伊川),張載(横渠)の著書から622条を選び,14巻に配列。書名は《論語》子張篇の〈切問而近思〉(切に問いて近く思う)に由来。道学(栄代に興った新儒教)の入門書として広く読まれた。

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旺文社世界史事典 三訂版 「近思録」の解説

近思録
きんしろく

南宋の朱熹 (しゆき) ・呂祖謙 (りよそけん) の編集書
1176年刊。北宋の周敦頤 (しゆうとんい) ・程顥 (ていこう) ・程頤 (ていい) ・張載 (ちようさい) らの言行を編集したもの。14巻,622条からなる。第1巻に義理の本源を説き,第2巻以下に日常の実践上の教訓をのせてある。宋学の入門書として広く読まれ,四書とともに重要。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「近思録」の意味・わかりやすい解説

近思録
きんしろく
Jin-si-lu

中国,宋の儒者朱子と呂東らいの共編になる書。 14巻。淳煕3 (1176) 年刊。周濂渓 (しゅうれんけい) ,程明道,程伊川,張横渠 (ちょうおうきょ) の著書や語録から重要な章句 622条を抜粋,14部門に分類編纂している。宋学の入門書として広く読まれ,多くの注釈がある。

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世界大百科事典(旧版)内の近思録の言及

【朱熹】より

…その門生たちに与えた最後の言葉は,〈あいともに堅苦の工夫(修業)をせよ〉であったという。著書には《四書集注(しつちゆう)》《近思録》《名臣言行録》《小学》《詩集伝》《周易本義》《儀礼(ぎらい)経伝通解》などがあるほか,詩や手紙などを収めた《朱文公文集》や,弟子との問答録《朱子語類》が伝わる。【三浦 国雄】。…

※「近思録」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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