食の医学館 「近視・遠視・乱視」の解説
きんしえんしらんし【近視・遠視・乱視】
《どんな病気か?》
〈網膜上にうまく像が結べないために起こる〉
物が見えるしくみは、目に入った光が角膜(かくまく)(黒目(くろめ))で屈折され、瞳孔(どうこう)で光量が調節され、水晶体(すいしょうたい)でピントが合わされて網膜(もうまく)上に像を結び、視神経によって脳に伝えられるというものです。
このとき、網膜上にきちんと像が結ばれない状態が近視(きんし)や遠視(えんし)、乱視(らんし)で、これらは屈折異常(くっせついじょう)と呼ばれます。網膜面より前方に像を結ぶ状態が近視、後方に像を結ぶ状態が遠視、どこにもピントのあった正しい像を結ばない状態が乱視です。
近視では、近いところはよく見えるのに、遠いところはよく見えません。原因のほとんどは、角膜から網膜までの距離(眼軸(がんじく))が長すぎることです。
遠視では、ほとんどの場合、眼軸が短すぎるのが原因です。遠視では、近くも遠くもぼやけてしまいます。
一方、乱視は角膜のカーブの度合いが方向によってちがったり、目の炎症やけがなどで角膜の表面がでこぼこになったりして起こります。遠くも近くも見にくく、眼精疲労(がんせいひろう)も起こしやすくなります。
《関連する食品》
〈ビタミンA、B1、アントシアニンなどで視力を向上〉
○栄養成分としての働きから
近視・遠視・乱視など目のトラブルに有効な栄養素として考えられるのは、ビタミンA、B1、タウリン、アントシアニンなどです。
目はたいへんエネルギー代謝の活発な器官で、栄養状態が悪くなると、眼球での代謝の調節がうまくいかなくなり、視力の低下をまねきます。
視力にとってもっとも重要なのはビタミンAで、これが欠乏すると、網膜で光の明暗を感じるロドプシン(視覚色素)の合成がうまくいかなくなり、暗いところで物が見えにくくなる、いわゆる鳥目(とりめ)になってしまいます。日ごろから、ビタミンAを多く含むレバーやウナギ、牛乳、たまごをとるよう心がけましょう。
体内でビタミンAと同じ働きをするカロテンも有効なので、コマツナなどの緑黄色野菜をとることもたいせつです。カロテンは油といっしょにとると吸収されやすい特徴があるので、マヨネーズやドレッシングをかけたサラダや、炒(いた)めものにしましょう。
また、ビタミンB1が欠乏すると、視力の低下もまねきます。ビタミンB1を多く含む豚肉、ウナギ、ダイズ製品、ナッツ類などが有効です。
アサリ、ホタテガイ、ハマグリなどの貝類やイカ、タコ、魚の血合いなどに多く含まれるアミノ酸のタウリンには、視神経の働きを助ける作用があります。
最近は、ブルーベリーに多く含まれているアントシアニンという色素に、視神経の働きをうながし、視力を向上させる作用があることも確認されています。
○漢方的な働きから
メグスリの木やナンテンの実に水を加えて煎(せん)じたものをこして服用すると、視力の回復に効果があるとされています。
飲みにくい場合は、はちみつなどを加えます。
〈めやにの対処法〉
起床時などにみられるめやに(眼脂(がんし))は、目の老廃物がかたまったもので、異常ではありません。
しかし、細菌やウイルスに感染すると、その菌を除去するために血管から白血球などがでることにより、大量の黄色いめやにがでます。
こうしためやにがでるときは、番茶を濃く煎(せん)じて少し塩を加えた液に清潔な脱脂綿をひたし、これで目を洗うとスッキリして、めやにがひきます。
めやにがひいても、念のため医師の治療を受けましょう。