遣手(読み)やりて

世界大百科事典 第2版の解説

やりて【遣手】

妓楼で遊女,新造,かむろ(禿)を監督する女。遣手婆(やりてばば)ともいい,また香車(きようしや)の別称がある。遊女らの行動を監視するほか,遊客を品定めして遊興の程度をはかるなど,遊女屋の最前線を統轄する役であり,細見(さいけん)類にも名まえが掲載された。営業に反する遊女をせっかんする悪婆として描かれることが多いが,大店(おおみせ)では行儀のしつけや相談相手などの世話をした。遊女上がりなどの遊郭関係者でなければ務まらないが,給料は無給か少額で,祝儀金や遊興費の歩合を収入とした。

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精選版 日本国語大辞典の解説

やり‐て【遣手】

〘名〙
① 物事をする人。行なう人。仕手(して)
※茶話(1915‐30)〈薄田泣菫〉大きな鼻「お説教とか講演とかいふものは、よく出来た場合は聴衆(ききて)よりも演者(ヤリテ)の方がずっと気持ちのいいもので」
② 腕前のある人。物事に巧みな人。手腕家。敏腕家。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三「世間では働き者のやりてのと云うが」
③ 牛を使う人。牛車をあやつり動かす人。また、それに巧みな人。
※駿牛絵詞(13C後‐14C初)「牛逸物も牛飼の遣手も世に多く」
④ 物を与える人。物をくれる人。
※咄本・無事志有意(1798)駕好「其駕籠賃はどこからもやりてがなければ、見世の小銭をちっとづつためて乗る」
⑤ 船と船とを結ぶもやい綱。手安綱。〔和漢船用集(1766)〕
妓楼で、諸事の取り持ち、また、遊女の監督や指導などをする女。遣手婆。花車(かしゃ)。香車(きょうしゃ)。やもじ。
※仮名草子・浮世物語(1665頃)一「大夫様と呼べども、今は返事もせず逢もせず。禿・遣手(ヤリテ)も空知らぬ風情なり」
⑦ やりごと(=詐欺)をする人。ぺてん師。詐欺師。
※浄瑠璃・いろは蔵三組盃(1773)六「わしをやり人(テ)といふけれど、いとしぼなげに御隠居様を、お前方があんまりなやり人(テ)
⑨ 取引市場で、売り手。また、売ること。〔現代大辞典(1922)〕

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