精選版 日本国語大辞典 「遣手」の意味・読み・例文・類語
やり‐て【遣手】
- 〘 名詞 〙
- ① 物事をする人。行なう人。仕手(して)。
- ② 腕前のある人。物事に巧みな人。手腕家。敏腕家。
- [初出の実例]「世間では働き者のやりてのと云うが」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三)
- ③ 牛を使う人。牛車をあやつり動かす人。また、それに巧みな人。
- [初出の実例]「牛逸物も牛飼の遣手も世に多く」(出典:駿牛絵詞(13C後‐14C初))
- ④ 物を与える人。物をくれる人。
- [初出の実例]「其駕籠賃はどこからもやりてがなければ、見世の小銭をちっとづつためて乗る」(出典:咄本・無事志有意(1798)駕好)
- ⑤ 船と船とを結ぶもやい綱。手安綱。〔和漢船用集(1766)〕
- ⑥ 妓楼で、諸事の取り持ち、また、遊女の監督や指導などをする女。遣手婆。花車(かしゃ)。香車(きょうしゃ)。やもじ。
- ⑦ やりごと(=詐欺)をする人。ぺてん師。詐欺師。
- ⑧ 「やりてむすび(遣手結)」の略。
- ⑨ 取引市場で、売り手。また、売ること。〔現代大辞典(1922)〕