都節(読み)ミヤコブシ

精選版 日本国語大辞典 「都節」の意味・読み・例文・類語

みやこ‐ぶし【都節】

  1. 〘 名詞 〙 都太夫一中が創立した一中節のこと。
    1. [初出の実例]「都ぶしはどこで始まって、どこでおさまるといふ事を知っているかへ」(出典:洒落本・通俗雲談(1813か)二)

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改訂新版 世界大百科事典 「都節」の意味・わかりやすい解説

都節 (みやこぶし)

上原六四郎(1848-1913)が《俗楽旋律考》(1895)の中で命名した日本の音階の名称の一つ。江戸時代に都会で発生し流行した芸術音楽(義太夫長唄など)に多くみられる,半音を含む音階(陰旋法)で,民謡などの田舎節(いなかぶし)と名づけられた半音を含まない音階(陽旋法)と対立する。

 小泉文夫(1927-83)は《日本伝統音楽の研究》(1958)の中で,日本の音階に核音テトラコルド(4度音列)が存在することを明らかにした。それによると,日本の音階は4種類のテトラコルド(民謡,都節,律,沖縄)のいろいろな結びつきによって構成され,上原の都節の音階は上行形が都節のテトラコルドと民謡のテトラコルドの組合せ,下行形が都節のテトラコルド,2個の組合せと考えられる。
音階
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「都節」の意味・わかりやすい解説

都節
みやこぶし

日本音楽用語。上原六四郎が『俗楽旋律考』のなかで用いた言葉で,主として近世の都市の音楽で用いられる音階をさす。彼は日本の音階は五音音階であり,都節と田舎節 (民謡などの音階) の2つに分けられると説き,前者を陰旋,後者を陽旋と名づけた。のちに小泉文夫は完全四度枠のテトラコードの存在に注目し,その中間音の位置により民謡,律,都節,沖縄の4種のテトラコードがあること,そのうち近世邦楽によく現れるのが「都節のテトラコード」であり,その接合により「都節音階」が成立することを明らかにした。

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