鄭芝竜(読み)テイシリュウ(その他表記)Zhèng Zhī lóng

デジタル大辞泉 「鄭芝竜」の意味・読み・例文・類語

てい‐しりゅう【鄭芝竜】

[1604~1661]中国末の貿易商南安県福建省)の人。鄭成功の父。通称、老一官。あざなは飛黄。日本に渡って平戸に住み、日本女性と結婚。1628年、明に招かれて日本との貿易活躍したが、明の滅亡によりにくだり、のち、殺された。

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改訂新版 世界大百科事典 「鄭芝竜」の意味・わかりやすい解説

鄭芝竜 (ていしりゅう)
Zhèng Zhī lóng
生没年:1604-61

中国,明末の武将福建省泉州の生れ。18歳のとき父を失い,伯父の船で日本に来航し,平戸の田川氏の娘と結婚した。鄭成功はその子。日本では甲螺かしら),一官(いつかん)などと呼ばれ,密貿易に従って巨富蓄え,明廷から招かれて都督にまで進んだ。明朝滅亡後は福王唐王に従ったが,1646年(順治3)には清軍に内通した。しかし鄭成功が父の招諭をきかず清に反抗したため,鄭芝竜は鄭成功に通じたという罪で殺された。
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朝日日本歴史人物事典 「鄭芝竜」の解説

鄭芝竜

没年:順治18(1661)
生年:万暦32(1604)
明末武将で密貿易商。中国・南安(福建)の人。鄭成功の父。通称一官,老一官,平戸一官。若いとき日本にきて,平戸の田川七左衛門の娘をめとり,福松(のちの鄭成功),次郎左衛門(七左衛門)の2子をもうけた。明に招かれ海防遊撃,総兵官,都督となり海上権を握り,南海貿易に活躍。明が滅亡すると,南京の福王,福建の唐王に従い勢力回復を図ったが,順治3(1646)年清に降り,抗清復明の活動を続ける子の成功の招諭につとめたが失敗に終わり,同18年4月謀叛律に問われ殺された。<参考文献>石原道博『国姓爺

(小山幸伸)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「鄭芝竜」の解説

鄭芝竜 てい-しりゅう

1604-1661 明(みん)(中国)の貿易商。
万暦32年生まれ。慶長13年(1608)来日。肥前平戸(長崎県)の田川七左衛門の娘と結婚し福松(鄭成功)をもうけ,南海貿易で巨富をたくわえる。明滅亡後,明の復興をこころざしたが,1646年清(しん)に投降。のち抗清活動をつづける子成功に清への帰順を説得するが失敗,国家反逆罪にとわれ,順治18年4月に殺された。58歳。福建省出身。字(あざな)は飛黄。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「鄭芝竜」の解説

鄭芝竜
ていしりゅう

1604~61

中国明末の武将。鄭成功の父。福建省安南県生れ。通称一官。幼少時にマカオに渡り,その後日本に居住。平戸の田川氏の女と結婚し,2子をもうける。1628年福建巡撫の招撫をうけ海防遊撃,30年都督に任じられた。南シナ海の海上権を握るとともに,44年の明滅亡後は南京の福王,福州の唐王に従い,清朝に抵抗して明の復興をはかる。46年清に降伏したが,子の成功の順撫に失敗し処刑された。

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百科事典マイペディア 「鄭芝竜」の意味・わかりやすい解説

鄭芝竜【ていしりゅう】

中国,明末清初の武将。福建省の人。通称一官。日本の平戸で田川氏の娘をめとった。海賊的密貿易者として活躍し,巨富をたくわえた。のち明に降り武将として活躍。明滅亡後は復明運動に従ったが1646年清に帰順。子の鄭成功説得に失敗し,かえって謀叛(むほん)の罪を受け一族は殺害された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「鄭芝竜」の解説

鄭芝竜(ていしりゅう)
Zheng Zhilong

1604~61

明末の武将。福建省南安の人。鄭成功の父。海賊の出身で,福建を根拠として海上権を握り,日本・南海貿易に活躍して莫大な富を築いた。明に降り都督に任じられたが,明の滅亡後,清に降った。

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旺文社世界史事典 三訂版 「鄭芝竜」の解説

鄭 芝竜
ていしりゅう
Zhèng Zhī-lǒng

1604〜61
中国,明末の貿易商・武将
福建省の出身で,密貿易によって巨富を蓄え,明朝の都督となった。明滅亡後,福王・唐王に従い,反清運動を展開したが,やがて降伏した。しかし,子の鄭成功が清に抵抗を続けたため,1661年に殺された。

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世界大百科事典(旧版)内の鄭芝竜の言及

【南明】より

…しかし彼はその器でなく,また政府部内では明末以来の党争がもちこされ,強力な団結に欠けていたので,1645年(清の順治2)4月清軍の攻撃をうけて揚州で史可法が戦死すると,5月には南京も陥り,帝は捕らえられて殺された。ついで6月に唐王が黄道周,鄭芝竜らに推戴されて福州で帝位につき,隆武帝をとなえた。このとき別に魯王も張煌言らに擁され紹興(浙江省)に拠って監国と称した。…

※「鄭芝竜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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