韓国(大韓民国)の第14代大統領。慶尚南道(けいしょうなんどう/キョンサンナムド)釜山(ふざん/プサン)生まれ。ソウル大学文理大哲学科卒業。国務総理秘書官を経て、1954年自由党から民議院議員に史上最年少の26歳で当選。1960年民主党所属議員となり、新民党結党に参加したが、1961年の軍事革命で失脚した。その後、民政党、民衆党を転々としたのち、新民党有力幹部となり、1979年党首に選出されて、同党を反体制に転回させた。1980年春、金大中(きんだいちゅう/キムデジュン)、金鍾泌(きんしょうひつ/キムジョンピル)と並ぶ「三金」の一人として大統領有力候補と目されたが、全土戒厳令、全斗煥(ぜんとかん/チョンドファン)政権成立によって政治活動を禁止された。1983年の断食闘争を経て、民主化運動や新韓民主党創立を推進した。1985年政治活動解禁。1985年2月の総選挙では金大中と新韓民主党を結成して躍進した。しかし、1987年5月に統一民主党を結成、党首として同年末の大統領選に出馬した。金大中を抑えて2位となったが、盧泰愚(ろたいぐ/ノテウ)の当選を阻めなかった。1990年1月、盧泰愚総裁の呼びかけで金鍾泌の共和党とともに与党の民正党に合流し、新たに民主自由党(のち新韓国党。現ハンナラ党)を結成して最高委員となった。1992年9月に同党総裁となり、12月の大統領選挙に出馬し金大中を破って当選、1993年2月に就任した。1995年の統一地方選挙、1996年の国会議員選挙で与党民自党が敗北、苦しい議会運営を強いられた。1995年1月、反乱・内乱・不正蓄財容疑で全・盧両元大統領の逮捕に踏み切り、1996年6月、2人に重刑を課した。1996年に金大統領の二男で秘書の金賢哲(きんけんてつ/キムヒョンチョル)が関与した財閥の不正巨額融資事件が発覚、1997年3月、国民に謝罪声明を発表するなど政権末期のレイムダック現象が続いた。1997年秋からの韓国の経済危機について、市民団体から「危機に適切に対処できなかった」として刑法の職務遺棄罪で告発されていたが、1998年検察当局は、責任は問わないことを決めた。1998年2月大統領を任期満了で退任。1994年(平成6)3月には国賓として来日している。
[玉城 素]
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1927~
韓国の政治家,大統領(在任1993~98)。慶尚南道巨済島出身。27歳で国会議員に初当選。1973~76年,野党新民党の総裁に就任し,維新体制下の朴正熙(パク・チョンヒ)政権に民主化闘争を挑む。79年,再び総裁に選出されたが,YH貿易事件で総裁職務を停止,国会議員も除名された。それが釜山(プサン),馬山(マサン)の騒乱の一因となり,10月の朴正熙暗殺を招来した。金大中(キム・デジュン),金鍾泌(キム・ジョンピル)とともに,80年の「ソウルの春」を主導したが,5月の光州事件以後,全斗煥(チョン・ドゥホアン)将軍の率いる新軍部が実権を掌握し,自宅に軟禁される。83年の断食闘争,84年の民主化推進協議会結成後,85年の総選挙で新韓民主党を実質的な勝利に導いた。87年の大統領選挙では盧泰愚(ノ・テウ)に敗北したが,92年の大統領選挙で勝利し,李承晩(イ・スンマン)以来の文民大統領に就任した。
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「キム・ヨンサム(金泳三)」のページをご覧ください。
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…その指導者で野党の大統領候補であった金大中(1925‐ )が,政敵抹殺をねらった朴政権によって73年8月に東京で拉致されると,南北対話は中断され,日韓関係も以後緊張の度を加えていくことになる。維新体制に対する民衆の批判を高度経済成長の実現によってかわしながら長期政権を維持した朴正熙は,79年の第2次石油危機を契機とする不況と,それを背景とした労働運動の高揚,野党=新民党(総裁,金泳三)の急進化,釜山・馬山の民衆暴動等の一連の政治的危機の深まりのなかで,10月26日に腹心の部下である金載圭中央情報部長に射殺され,衝撃的な最期を遂げた。 以後80年前半にかけて民主化運動は急激に発展,次の政権をねらう野党系の金大中,金泳三(1927‐ )と朴政権直系の金鍾泌(1926‐ )が民主化で歩調を合わせ,〈三金時代〉と呼ばれる韓国政治の新時代が始まるかにみえたが,急速な政治変革を恐れた軍部は,80年5月17日の非常戒厳令の全国化によって実権を掌握し,抵抗する光州の学生・市民多数の虐殺(光州事件,85年の政府報告では死者192人)を通して,再び軍人中心の全斗煥(1931‐ )政権(第5共和国)を成立させた。…
※「金泳三」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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