金鵄(読み)キンシ

デジタル大辞泉 「金鵄」の意味・読み・例文・類語

きん‐し【金×鵄】

金色トビ神武天皇長髄彦ながすねひこ征伐したとき、弓の先に止まり、味方勝利に導いたという。

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精選版 日本国語大辞典 「金鵄」の意味・読み・例文・類語

きん‐し【金鵄】

〘名〙
① こがねのトビ。特に、神武天皇長髄彦(ながすねひこ)征伐のとき、天皇の弓の弭(ゆはず)にとまったという金色のトビをさす。
稲熱病(1939)〈岩倉政治〉二「恩給と金鵄(キンシ)年金があるとはいへ」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金鵄」の意味・わかりやすい解説

金鵄
きんし

日本神話の霊鳥。神武(じんむ)天皇が大和(やまと)の実力者である長髄彦(ながすねひこ)と戦って勝てなかったとき、金色の鵄(とび)が天皇の弓弭(ゆはず)に止まって雷(いかずち)のように輝いたため、賊は眩惑(げんわく)されて戦意を失い、天皇は大和を平定しえたと語る。金鵄は皇室の守護霊であり、これが弓に憑依(ひょうい)して建国の業が果たされたのである。この種の神話はハンガリー建国神話にもみられる。マジャール人のアルパートが軍を率いてハンガリー平原に入ろうとしたとき、猛吹雪(ふぶき)に悩まされたが、その際トゥルルという猛禽(もうきん)が出現し、ふたたび軍が元気を回復し、アルパートはハンガリー王国初代の王となったという。このように猛禽が王朝の起源と関連している神話は、中央アジアのウラル・アルタイ系の諸種族に少なくないといわれている。

吉井 巖]

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デジタル大辞泉プラス 「金鵄」の解説

金鵄

1906年発売の国産紙巻たばこ「ゴールデンバット」の1940年からの別称太平洋戦争時代に、英語の商品名が敵性語とされたために改称。戦後、1949年に再改称してもとの名に戻された。

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