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鎌倉時代の美術 かまくらじだいのびじゅつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鎌倉時代の美術
かまくらじだいのびじゅつ

12世紀末から 14世紀なかばにいたる鎌倉時代は,文化の浸透が地域的にも階層的にも拡大した時代であり,美術は総じて明快で現実的な表現様式が基調となっている。活発になった大陸との接触は,絵画における宋画の導入や建築における天竺様,唐様の流行など,造形芸術のあらゆる分野に大きな影響を与えた。また新興の諸宗派と旧仏教の拮抗という宗教界の動向は,有力な布教手段である宗教美術の制作を活発にし,信徒の階層的な広がりは,その表現を写実的で平明なものとした。世俗絵画では,王朝的伝統への懐古趣味に支えられ,物語絵や日記絵など王朝文化を素材とする作品の制作が続けられる一方,合戦絵や藤原隆信・信実父子が大成した似絵の流行など,題材も技法も幅広く展開している。宗教絵画では浄土教美術の来迎図に動きやスピード感を伴う新形式が生れ,また密教美術でも宋風の新様式と伝統様式を融合させた特色ある仏画がみられる。一方,神道絵画 (→垂迹美術 ) も盛んに制作され,社殿の景観を美しく描く宮曼荼羅は,風景画的な性格をも多分に含んでいる。 13世紀後半になると,禅宗に伴う新しい形式の肖像画である頂相 (ちんぞう) も描かれはじめ,中国,宋,元の水墨画の受容もこの時代の特色として見過せない。彫刻も絵画と同様な傾向によって力強く男性的な造形を示し,わかりやすく写実的なものとなっている。運慶や湛慶など慶派がこの時代の主流であるが,藤原彫刻の優美さを継承する快慶の安阿弥様や,善円をはじめとする善派の作品も注目される (→鎌倉彫刻 ) 。工芸も同様に理知的で力強い表現を示し,彫金技術の発達は金工品,漆器の精巧な作風を可能とした。書は流派意識が強まるなかで,後京極様や世尊寺流という平明な書風が盛行する一方,禅僧による宋風の個性的な書も尊重された。 13世紀末には伏見天皇によって優美な上代和様が復興されている。

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