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垂迹美術 すいじゃくびじゅつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

垂迹美術
すいじゃくびじゅつ

インドの仏を本地とし,日本の神をその垂迹とする本地垂迹の思想 (→本地垂迹説 ) を背景とする美術。本地垂迹の思想が広く行われるようになった平安時代初期から垂迹像,垂迹曼荼羅などが彫刻,絵画として盛大に制作された。彫刻では,東大寺蔵『僧形八幡神像』 (快慶作,鎌倉時代) など,絵画では百済寺蔵『山王宮曼荼羅』 (鎌倉時代末) ,聖護院蔵『熊野本地仏曼荼羅』 (鎌倉時代末) などの遺品がある。絵画も彫刻も様式的には仏教美術の影響を大きく受けているが,一部の絵画などには独自の画風を示すものもある。

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百科事典マイペディアの解説

垂迹美術【すいじゃくびじゅつ】

本地垂迹思想に基づいて作られた美術。平安末期に始まるが,最も盛行した鎌倉時代以降の作のみ現存。3種に分類され,社殿を中心に神域を俯瞰(ふかん)描写し,さらに本地仏を描き加えたもの(春日(かすが)の宮曼荼羅(まんだら),熊野の熊野曼荼羅,日吉(ひえ)山王曼荼羅など),神社を象徴するものを画面中央に大きく描いたもの(春日の鹿曼荼羅や熊野の霊場である那智滝を描いたもの),神体を礼拝像風に描いたもの(僧形八幡神像,蔵王権現像など)がある。
→関連項目春日曼荼羅神仏習合宮曼荼羅

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世界大百科事典 第2版の解説

すいじゃくびじゅつ【垂迹美術】

平安時代後期に成立した本地垂迹説,すなわち神が本地である仏の垂迹として日本に権現したとする説に基づいて造形された美術。広義の神道美術,仏教美術の一分野といえ,造形的にも思想的にも,きわめて日本的な特徴をもつ作品が多く,平安時代末期から中世にわたって制作された。代表的な作品は垂迹曼荼羅で,春日曼荼羅山王曼荼羅熊野曼荼羅,石清水曼荼羅などがある。それぞれにさまざまな変化があるが,基本形は,本地仏を密教の曼荼羅のように配した本地曼荼羅と,社殿,社景を浄土のように描いた宮曼荼羅の2形式である。

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世界大百科事典内の垂迹美術の言及

【神道美術】より

…だが,神道美術の作品は,神道独自の世界から造形されたものは少なく,仏教美術の影響によって成立したものが圧倒的に多い。これは,神道そのものが仏教などの外来思想によって展開したためで,これらの作品も仏教美術の一分野である垂迹(すいじやく)美術として扱われてきた。確かに,神道が思想として成立したのは中世以後であるが,神祇に対する信仰は古代からつねにあった。…

※「垂迹美術」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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