鎮火祭(読み)チンカサイ

デジタル大辞泉 「鎮火祭」の意味・読み・例文・類語

ちんか‐さい〔チンクワ‐〕【鎮火祭】

陰暦6月12月みそかの夜、火災を防ぎ、火のけがれを払うために宮城四隅卜部うらべ氏が火をつかさどる神を祭った神事。ひしずめのまつり

ほしずめ‐の‐まつり〔ほしづめ‐〕【火祭(り)】

ちんかさい(鎮火祭)

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精選版 日本国語大辞典 「鎮火祭」の意味・読み・例文・類語

ちんか‐さいチンクヮ‥【鎮火祭】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、神祇官が行なった祭祀一つ。陰暦六月と一二月の晦日(みそか)の夜、宮城の四方外角卜部(うらべ)たち火神をまつった神事。斎宮野宮(ののみや)でも行なった。ひしずめのまつり。ほしずめのまつり。ちんかのまつり。〔令義解(718)〕

ほしずめ‐の‐まつりほしづめ‥【鎮火祭】

  1. 〘 連語 〙 令制で、神祇官が行なった祭祀の一つ。火災を防ぎ火のけがれを払うため、毎年陰暦六月・一二月の晦日の夜、宮城の四方の隅で卜部(うらべ)の行なったもの。ちんかさい。ひしずめのまつり。

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改訂新版 世界大百科事典 「鎮火祭」の意味・わかりやすい解説

鎮火祭 (ちんかさい)

〈ほしずめのまつり〉〈ひしずめのまつり〉ともいう。火災防止のためのまつり。神祇令によると,6月と12月の晦日夜,道饗(みちあえ)祭の後に宮城の四方の外角で行った。これは火の力を鎮めようとする呪術的なまつりであることから,卜術にすぐれた卜部(うらべ)が行った。このまつりの儀礼には,秘事が多いとされている(《公事根源》)が,《延喜式》巻八の鎮火祭祝詞によると,〈水神匏(ひさご),埴山姫(はにやまひめ),川菜(かわな)を持ちて鎮め奉れ〉とあるから,古儀では水と土と川菜とが用いられたようである。現在も各地に鎮火祭を行っている神社があるが,古儀を伝えているものに,福島県大沼郡会津美里町旧会津高田町の伊佐須美(いさすみ)神社がある。同社の鎮火祭は,祭場を庭上に設け,鎮火の儀は,庭上の火の上るのを待って,川菜を投じ,水をそそぎ,土をもって火を埋める。このほか,祭儀の方法は異なるが,青森県の岩木山(いわきやま)神社,大阪市の生国魂(いくくにたま)神社,島根県の物部(もののべ)神社,東京都台東区の秋葉神社などでも行われる。
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鎮火祭 (ひしずめのまつり)

鎮火祭(ちんかさい)

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百科事典マイペディア 「鎮火祭」の意味・わかりやすい解説

鎮火祭【ちんかさい】

〈ひしずめのまつり〉とも。火災を防ぐ神事。旧6月,12月の晦日(みそか)の夜,宮城の四隅で火を鑽(き)りだし,卜部(うらべ)氏家伝の秘事を行った。道饗祭(みちあえのまつり)も同日行われ,合わせて四角四堺の祭ともいった。今も青森県岩木山神社ほか各地の神社で鎮火祭が行われる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鎮火祭」の意味・わかりやすい解説

鎮火祭
ちんかさい

6月と 12月のみそかの夜,宮城の四隅で火を鑽 (き) って神を祀り,火災防止を祈った神事。現在も諸神社で行われる。「ひしずめのまつり」「ほしずめのまつり」ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内の鎮火祭の言及

【鎮火祭】より

…これは火の力を鎮めようとする呪術的なまつりであることから,卜術にすぐれた卜部(うらべ)が行った。このまつりの儀礼には,秘事が多いとされている(《公事根源》)が,《延喜式》巻八の鎮火祭祝詞によると,〈水神匏(ひさご),埴山姫(はにやまひめ),川菜(かわな)を持ちて鎮め奉れ〉とあるから,古儀では水と土と川菜とが用いられたようである。現在も各地に鎮火祭を行っている神社があるが,古儀を伝えているものに,福島県大沼郡会津高田町の伊佐須美(いさすみ)神社がある。…

※「鎮火祭」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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