道饗祭(読み)ちあえのまつり

精選版 日本国語大辞典 「道饗祭」の意味・読み・例文・類語

ちあえ‐の‐まつりちあへ‥【道饗祭】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ち」は道の意 ) 令制で、八衢比古(やちまたひこ)、八衢比売(やちまたひめ)、久那斗(くなど)をまつった祭。六月、一二月に京四方大路の最極において鬼魅の侵入を防ぐために卜部らが祭った。みちあえのまつり

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改訂新版 世界大百科事典 「道饗祭」の意味・わかりやすい解説

道饗祭 (みちあえのまつり)

古く毎年6月と12月に,京城の四隅において行われた祭り神祇令に定められた恒例の祭りであったが,疾疫あるときは臨時に諸国で行われた。《令義解》によると,鬼魅(きみ)が外から侵入してくるのを京師に入れないようにするため,京城の四隅の路上で饗応し遏(とど)むるのだという。《延喜式》の同祭祝詞によると,八衢比古(やちまたひこ),八衢比売,久那斗(くなど)の三神をまつり,鬼魅・妖物の侵入を防ぎまもってもらうため,幣帛(へいはく)をたてまつって行われる。このときの幣帛は,五色薄絁(いついろのうすぎぬ),倭文(しどり),木綿(ゆう),庸布,麻,鍬,酒,稲,鰒(あわび),堅魚(かつお),腊(きたい),海藻,塩,水などに加え,牛皮,猪皮,鹿皮,熊皮を用いる。この祭りは,鎮火祭(ちんかさい)/(ほしずめのまつり)とともに卜部(うらべ)がつかさどる祭りで,呪術的祭祀といえる。このほか臨時に災疫を防ぐための祭りには,宮城四隅疫神祭,唐客入京路次神祭,障神祭などがあった。のち陰陽道では四角四堺祭が行われ,現在の民俗には,疫神送り,虫送りなどがある。
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百科事典マイペディア 「道饗祭」の意味・わかりやすい解説

道饗祭【みちあえのまつり】

都の四隅に八衢比古(やちまたひこ),八衢比売(やちまたひめ),久那斗(くなど)の三神をまつり,魑魅(ちみ),妖気が都に入らぬように祈る祭。上代に毎年6月,12月の2回行われた。道饗は疫神が入り込まぬように道の途中に迎えて食物を供する意。早く廃絶したが,疫神送りや村の入口に張る道注連(みちしめ)などには道饗祭のなごりが見られる。
→関連項目鎮火祭厄病神

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「道饗祭」の意味・わかりやすい解説

道饗祭
みちあえのまつり

「ちあえのまつり」ともいう。令制の祭。京の都城の四隅の路上で,ヤチマタヒコ,ヤチマタヒメ,クナドの3神を祀り,魑魅 (ちみ) や妖怪が京や宮中に来るのを防ぐ祭り。毎年6,12月に行われ,左右京職が司り,卜部 (うらべ) が解除 (はらえ) を行なった。

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