長法寺(読み)ちようほうじ

日本歴史地名大系 「長法寺」の解説

長法寺
ちようほうじ

[現在地名]備前市伊部 下り松

高野山真言宗の寺院。山号小幡山、本尊阿弥陀如来。創建の時期は不詳であるが、享保二年(一七一七)松井河楽撰の「小幡山長法寺縁起」(長法寺文書、以下断らない限り同文書)は聖武天皇の勅願により、鑑真の創建とする。

貞治四年(一三六五)三月二三日の長法寺免田宛行状によると、当寺別当実賢の知行田数は、香登かがと庄内で一町二〇代、これを領家から免田とされている。当寺に伝来する備前焼の四耳壺には、文明一二年(一四八〇)四月二四日付の「備前国伊部村小幡山長法寺谷之坊教舜之也」という銘文があって、香登で盛んであった備前焼と当寺のかかわりが推測される。


長法寺
ちようほうじ

[現在地名]長岡京市長法寺 谷山

長法寺山の中腹にある。清厳山と号し、天台宗。本尊十一面観音。洛西観音霊場九番札所。寺伝によれば、延喜年間(九〇一―九二三)園城おんじよう(三井寺、現滋賀県大津市)で修行した千観の開基とする。諸国巡歴の途次この地に立寄り、夢告によって一堂建立、さらに祈雨の霊験によって造営を加えたという。千観の伝記は「元亨釈書」にあるが、長法寺建立のことはみえない。しかし摂津箕面みのお(現大阪府箕面市)にいた時、朝議によって大滝傍らで祈雨し効験あったことを伝える。長法寺では千観の祈雨は寺域北西隅の巌窟の泉と関連付けて伝えている。千観開基説は「山州名跡志」などにもみえる。


長法寺
ちようほうじ

[現在地名]神山町神領 大埜地

弁天山と号する小庵。本尊阿弥陀如来。阿野勧善あのかんぜん寺蔵の大般若経のうち巻五八奥書に嘉慶二年(一三八八)付で「大粟山長宝寺」、巻六〇奥書に同年付で「長宝寺住僧良意」とみえる。「山科家礼記」文明一三年(一四八一)正月一六日条に、阿波国一宮神領「麻粟うちニ長宝寺在之、本所いは御所也、卅貫文也、同所蓮花寺ヒタニ所寺領十五貫文」とみえ、当寺は麻粟あわうにあった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android