閻若璩(読み)エンジャクキョ

デジタル大辞泉 「閻若璩」の意味・読み・例文・類語

えん‐じゃくきょ【閻若璩】

[1636~1704]中国代の古典学者経史に詳しく、精密な考証にすぐれ、清代考証学基礎をきずいた。著「尚書古文疏証そしょう」「四書釈地」など。

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精選版 日本国語大辞典 「閻若璩」の意味・読み・例文・類語

えん‐じゃくきょ【閻若&JISECBE;】

  1. 中国清代の学者。字(あざな)は百詩。号は潜邱(せんきゅう)太原の人。「尚書古文疏証」八巻を著わして、「古文尚書」二五編を偽作と断じ、儒教経典に対する科学的研究先駆となる。ほかに「四書釈地」「孟子生卒年月日考」「潜邱剳記」など。(一六三六‐一七〇四

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「閻若璩」の意味・わかりやすい解説

閻若璩
えんじゃくきょ
(1636―1704)

中国、清(しん)初の学者。字(あざな)は百詩、号は潛邱(せんきゅう)。山西(さんせい)省太原(たいげん)県の人。江蘇(こうそ)省淮安(わいあん)府に住んだ。16歳で県学に入り、経学史学にいそしみ、「一物も知らずんば以(もっ)て深き恥と為(な)し、人に遭(あ)いて問うに寧日(ねいじつ)有る少(な)し」を座右銘とした。20歳で『尚書(書経)』を読んでから30余年の努力を積み、古文25篇(へん)と孔安国(こうあんこく)の伝が偽作であることを論証した『尚書古文疏証(そしょう)』(1745)は、古典を初めて科学的な研究対象とする道を開き、後の清朝考証学を導くものとなった。地理学にも詳しく、徐乾学(じょけんがく)(1631―1694)の『大清一統志(だいしんいっとうし)』編纂(へんさん)に加わり、『四書釈地』の著がある。『潛邱箚記(さっき)』は平生の読書論学の集録である。晩年、康煕(こうき)帝の第4皇子に召されて知遇を受け、康煕43年6月8日、北京(ぺキン)で卒(しゅっ)した。

[近藤光男 2016年3月18日]

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改訂新版 世界大百科事典 「閻若璩」の意味・わかりやすい解説

閻若璩 (えんじゃくきょ)
Yán Ruò qú
生没年:1636-1704

中国,清代初の学者。字は百詩,号は潜邱。山西省太原の人。若いころから経学・史学を好んで名声をはせていたが,20歳のとき,《古文尚書》を読んで,その編数に疑いを抱き,ついに《尚書古文疏証》8巻を著して,《古文尚書》25編と孔安国の伝が後世の偽作だと推論した。長く神聖視されてきた経書を批判的対象とした点で,清代考証学の先駆となった。ほかに《四書釈地》などがある。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「閻若璩」の解説

閻若璩(えんじゃくきょ)
Yan Ruoqu

1636~1704

清の学者。山西省太原の人。字は百詩,号は潜邱(せんきゅう)。考証学に優れ,その著『古文尚書疏証』(こぶんしょうしょそしょう)は『古文尚書』25編を後世の偽作と断じた画期的な業績である。他にも著述が多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「閻若璩」の意味・わかりやすい解説

閻若璩
えんじゃくきょ
Yan Ruo-ju

[生]崇禎9 (1636)
[没]康煕43 (1704)
中国,清の経学者。字は百詩,号は潜邱。山西省太原の人。昔から神聖視されていた『古文尚書』を偽作と断じ,清代考証学の先駆となる。著書『尚書古文疏証』『孟子生卒年月日考』『四書釈地』『潜邱剳記』。

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世界大百科事典(旧版)内の閻若璩の言及

【考証学】より

…(1)古典のテキストについて綿密な考証が行われ,その真偽が鑑別されたこと。閻若璩(えんじやくきよ)の《尚書古文疏証》は,《尚書》のうち東晋におくれて出た古文についてその偽作なることを証明したものである。これは神聖なる経典を,研究の対象とし,かつこれを懐疑したものであって,一種の思想解放としての意味をもった。…

【書経】より

…現存の《書経》である。しかし宋の朱熹(子)いらい疑惑がもたれ,ついに清の閻若璩(えんじやくきよ)《古文尚書疏証》と恵棟の《古文尚書考》によって,〈大禹謨〉などの25編は魏・晋のころの偽作であることが論破された。孔安国の伝も偽作ときめつけられ,〈偽孔伝〉と呼ばれるが,《書経》につけられた数多くの注釈のなかでは第一級の価値をもつものであり,朱熹の弟子の蔡沈が作った注釈《書集伝》が新注といわれるのに対して,古注と呼ばれる。…

※「閻若璩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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