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防衛費 ボウエイヒ

大辞林 第三版の解説

ぼうえいひ【防衛費】

国の予算のうち防衛目的に支出される経費。自衛隊の人件費・食糧費・装備品購入費・訓練費・基地対策費など。防衛関係費。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

防衛費
ぼうえいひ
defense expenditure

日本の歳出予算において、国防費ないし軍事費に該当する項目。正しくは「防衛関係費」という。第二次世界大戦後、この種の経費は終戦処理費を残すのみとなっていたが、1950年(昭和25)の朝鮮戦争勃発(ぼっぱつ)により、連合国最高司令部(GHQ)の指令に基づいて警察予備隊が創設され、事実上復活した。予算上、防衛関係費として統括されるようになったのは1955年度からである。
 以降、2009年(平成21)現在に至る防衛関係費の歴史は、1989年末に行われたブッシュとゴルバチョフによる米ソ首脳会談の冷戦終結宣言を境に、大きく二つに分けられる。冷戦下の前半にあたる1957~1976年度には、1957年の「国防の基本方針」(閣議決定)に基づいて4次(各5か年)にわたる「防衛力整備計画」が実施された。これらの計画では専守防衛の防衛力の量的増強を目的としていた。冷戦下の後半にあたる1977~1990年度には、まず1976年10月に「防衛計画の大綱」(国防会議および閣議決定)が策定された。これは平時から保有しておくべき防衛力の水準などを具体的に示したもので、陸上自衛隊定数18万人(12個師団、2個混成団)、戦車約1200両、自走砲約1000門/両、海上自衛隊護衛艦約60隻、潜水艦16隻、航空機約220機、航空自衛隊航空機約430機(うち戦闘機約350機)などである。また同年11月には三木内閣の国防会議および閣議決定によって、当面、「各年度の防衛関係費総額は、その年度のGNPの1%を超えないものとする(GNP1%枠)」とされた。この1%枠は1986年まで守られた。しかし日本経済はオイル・ショック後、安定成長期に入り厳しい財政事情のもと、目標とする「大綱」の水準にはなかなか到達できない状況にあったため、1985年9月に1986~1990年度を対象とする「中期防衛力整備計画」(第一次)が策定された。これは「大綱」に定められた防衛力の水準を当期間内に達成することを目標とし、総額約18兆4000億円(1985年度価格)を充当しようとするものであった。
 なおこの間1978年には、当時のアメリカ経済が不況とインフレ(スタグフレーション)によって財政赤字が増大していたことを思いやり、アメリカ側の負担であった在日米軍基地の日本人従業員の労務費等の一部62億円を肩代りすることにした。いわゆる「思いやり予算」である。この肩代りは、アメリカ経済がその後好転したにもかかわらず継続され、内容の変更はあったが、2008年度当初予算では2083億円、防衛関係費の4.4%を占めている。
 冷戦終結後の国際情勢は大きく変化し、世界的に軍縮と核装備削減へと向かう。日本でも1991~1995年度を対象とする「中期防衛力整備計画」(第二次)を経て、1995年には「防衛計画の大綱」(安全保障会議および閣議決定)が策定され、自衛隊が保有すべき兵力の目標および編成を改めて具体的に示した。それは、陸上自衛隊定数16万人(8個師団・6個旅団)、戦車約900両、自走砲約900門/両、海上自衛隊護衛艦約50隻、潜水艦16隻、航空機約170機、航空自衛隊航空機約400機(うち戦闘機約300機)などであり、1976年に策定された前の大綱に比べると、目標値の縮小と装備性能の向上がみられる。この新大綱の目標に向けて、1996~2000年度対象の「中期防衛力整備計画」(第三次)、2001~2005年度対象の「中期防衛力整備計画」(第四次)が策定された。
 2004年には、「新防衛計画の大綱」(安全保障会議および閣議決定)が策定された。そこでは、10年後までを念頭において、自衛隊が保有すべき目標と編成が示されている。それは、陸上自衛隊定数15万5000人(8個師団・6個旅団)、戦車約600両、自走砲約600門/両、海上自衛隊護衛艦約47隻、潜水艦16隻、航空機約150機、航空自衛隊航空機約350機(うち戦闘機約260機)などであり、1976年および1995年に策定された二つの大綱に比べると、目標値の縮小と質的向上がみられる。同年12月に、この新大綱に従い、2005~2009年度対象の「中期防衛力整備計画」(第五次)が策定された。これに伴い、2001~2005年度対象の「中期防衛力整備計画」(第四次)は、2004年度限りで廃止された。2008年12月には、新中期防衛力整備計画の見直しが行われた。
 この間特筆すべき項目の第一は、自衛隊の海外派遣である。1992年「国連平和維持活動協力法」(PKO協力法)の成立により、停戦後の紛争地域に、アンゴラ(1992年)、カンボジア(1992年)、モザンビーク(1993年)、ルワンダ(1994年)、ゴラン高原(1996年以降)、東チモール(1999~2002年)へと自衛隊が派遣された。また2001年の「テロ対策特別措置法」によって、同年11月、第二次世界大戦後初めて、戦争状態のアラビア海に米軍後方支援として自衛艦3隻が派遣された。
 第二は、1998年8月北朝鮮から日本海に向けて戦域ミサイル・テポドン1号が発射されたことである。これを機として1999年、アメリカの「戦域ミサイル防衛(TMD)共同研究」に日本も参加することになった。しかしこれに対しては時代錯誤との声がある。
 第三は沖縄基地問題である。米兵の暴行事件が多発する沖縄では基地反対運動が高まり、1996年4月普天間(ふてんま)飛行場全面返還に日米が合意し、以後その代替地をめぐって政府および沖縄県内部で対応が進められている。
 第四は、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化していることである。アメリカの9・11テロ(アメリカ同時多発テロ)にみられたような国際テロ組織等の活動や、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展が、新たな脅威となってきた。国家間における軍事的対立を中心とした問題だけではなく、このような新たな脅威を抑止することが、日本の平和と安全にとって重要となっている。
 こうした問題を抱えながら日本の防衛費は、2007年で国際比較すると、同年の国防費支出額ではアメリカ5526億ドル、イギリス632億ドル、フランス607億ドル、中国462億ドル、ドイツ421億ドルに次いで410億ドルと世界第6位であるが、国民1人当りでは322ドルと34位、正規兵力では23万人と22位にとどまっている。[一杉哲也・羽田 亨]
『防衛庁編『防衛白書』各年版(財務省印刷局)』

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