日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿東」の意味・わかりやすい解説
阿東
あとう
山口県東部、阿武郡(あぶぐん)にあった旧町名(阿東町(ちょう))。現在は山口市の最北部を占める地域。1955年(昭和30)篠生(しのぶ)、生雲(いくも)、地福(じふく)、徳佐、嘉年(かね)の5村が合併して町制施行。2010年(平成22)山口市へ編入。旧町域は北を島根県に接する。徳佐盆地など広い谷底平野をもつ山間農村で、雪の多い高冷地である。稲作のほか養鶏や肉用牛の飼育などを行い、観光果樹園(リンゴ、ナシ)がある。徳佐は近世の石州(せきしゅう)街道の市場(いちば)町で、国道9号、315号、JR山口線が通る。阿武川中流に国の名勝長門(ちょうもん)峡がある。常徳寺(じょうとくじ)の庭園は国の名勝。北東部の十種ヶ峰(とくさがみね)山麓(さんろく)にはスキー場やオートキャンプ場がある。
[三浦 肇]
『『阿東町制施行五十年史』(2005・阿東町)』