阿茶局(読み)あちゃのつぼね

精選版 日本国語大辞典 「阿茶局」の意味・読み・例文・類語

あちゃ‐の‐つぼね【阿茶局】

  1. 徳川家康側室武田氏の家臣飯田久右衛門の娘。大坂冬の陣には陣中にも伴われ、大坂城和議をすすめた。神尾一位、一位の尼と称し、秀忠没後雲光院を称す。弘治元~寛永一四年(一五五五‐一六三七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「阿茶局」の意味・わかりやすい解説

阿茶局
あちゃのつぼね
(1555―1637)

徳川家康の側室。名は須和(すわ)。甲斐武田氏の臣、飯田直政(なおまさ)の娘。駿河今川氏の臣、神尾忠重(かんおただしげ)と結婚したが、1577年(天正5)、一子を抱えて寡婦となる。2年後、家康に仕え、阿茶局と称した。しばしば戦場にも従い、1584年の小牧長久手の戦いの際には戦場で流産した。才知に優れ、1614年(慶長19)の大坂冬の陣のときには、淀君の妹で京極高次の妻常高院(じょうこういん)とともに大坂城に入り、和睦使者をつとめて淀君・秀頼母子の誓書をとるなど、政治的役割も果たした。1616年(元和2)の家康没後も、家康の命により髪を下ろさなかった。1620年、秀忠の五女和子(かずこ・まさこ)(東福門院(とうふくもんいん))が後水尾天皇(ごみずのおてんのう)のもとに入内したときは、和子の母代わりとして上洛。また1623年の皇女(のちの明正天皇(めいしょうてんのう))出産の際にも上洛して世話した。後水尾天皇より従一位の位を与えられ、神尾一位局とも言われるようになった。1632年(寛永9)、秀忠の死後剃髪し、雲光院と号した。

[関 民子]

『斎藤一馬・岩沢愿彦校訂『徳川諸家系譜』第1、第2(1970、1974・続群書類従完成会)』『高柳金芳校注『新装版 史料徳川夫人伝』(1995・新人物往来社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「阿茶局」の意味・わかりやすい解説

阿茶局 (あちゃのつぼね)
生没年:1555-1637(弘治1-寛永14)

戦国・江戸初期の女性。徳川家康の側室。武田氏の臣飯田筑後直政の女。名は須和,また神尾一位殿,雲光院とも称した。今川氏の臣神尾孫兵衛忠重(久宗)に嫁し,その没後,1579年(天正7)召し出されて家康の側室となる。妻妾中才略第一の人物として出頭し,大坂の陣の和睦交渉の使者を務めるなど内外の枢機に参画した。その活躍は家康没後におよび,1620年(元和6)秀忠の女和子(東福門院)入内の際の母代りや23年の皇女(明正天皇)誕生のおりの生母和子への近侍,また家光時代の26年(寛永3)の後水尾天皇二条城行幸に際して,送迎・饗応の万般に関与した。
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朝日日本歴史人物事典 「阿茶局」の解説

阿茶局

没年:寛永14.1.22(1637.2.16)
生年:天文23.2.13(1554.3.16)
徳川家康の側室。甲州武田氏の家臣飯田直政の娘。名は須和。今川氏の家臣神尾忠重の妻となり,一子守世を儲ける。忠重没後に家康に仕え,阿茶局と称される。陣中にもしばしば伴われ,小牧・長久手の戦のおりに流産。やがて側室というより側近として重きをなすようになり,大坂冬・夏の陣では豊臣方との交渉にも当たった。家康没後も重用され,秀忠の娘,和子(東福門院)入内の際には母代を務め,皇女(明正天皇)誕生のおりも在京。従一位に叙されたため神尾一位局とも称される。秀忠没後に雲光院と称した。墓所は雲光院(東京都江東区)。<参考文献>『徳川諸家系譜』1・2巻

(久保貴子)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「阿茶局」の解説

阿茶局 あちゃのつぼね

1555-1637 織豊-江戸時代前期,徳川家康の側室。
天文(てんぶん)24年2月13日生まれ。夫の神尾忠重の死後,家康につかえて大奥を統制し,大坂冬の陣では徳川方の和議の使者となった。徳川秀忠(ひでただ)の娘和子(東福門院)の後水尾天皇への輿(こし)入れに母代わりをつとめ,のち従一位をさずけられ神尾一位,一位の尼とよばれた。寛永14年1月22日死去。83歳。本姓は飯田。名は須和。号は雲光院。

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367日誕生日大事典 「阿茶局」の解説

阿茶局 (あちゃのつぼね)

生年月日:1554年2月13日
安土桃山時代;江戸時代前期の女性。徳川家康の側室
1637年没

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