際物を販売する商人。際物は節物(せつもつ)のことで時節時節のものをいう。日限があり,その時に売らなければ廃物となってしまい,あるいは来年のその時を待たなければ買手がないという品物である。たとえば,正月2日の宝船図,7日のナズナ,15日の削掛け,3月の雛物,5月の端午物,7月の七夕や盂蘭盆(うらぼん)の品々,8月の十五夜と9月の十三夜のススキ,10月の法華信徒のための着せ綿と造り花,11月の酉の市の熊手,入船,頭(かしら)の芋,12月下旬からの正月用品といったもので,際物師はこうした節物を季節的につぎつぎに売っていった。こうした商売ができてきたのは近世中期からのことと思われるが,際物師という呼称は江戸だけのもので,上方ではいわなかったという。現在では,この語の本来の意味は忘れられ,際物師といえば,場当り的な荒稼ぎをねらう仕事師をいうようになっている。
執筆者:遠藤 元男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…一方,乾見世は〈天道ぼし〉ともいい,これには,唐辛子売,枇杷葉湯(びわようとう)売,スイカの切売,火打鎌売,古着・古道具売などがあった。 このほか,物売には季節ごとに入用な物を売る際物師(きわものし)と,香具師(やし)があった。際物師には正月の祝物,2日のお宝(宝船)売,7日のナズナ売,15日の削掛け売,三月節供の雛祭の諸物売,七夕の竹や短冊売,盆のおがら売,12月のしめ縄売,飾松売などがあった。…
※「際物師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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