芸能用語。本来は季節に応じたものの意味だが、多く使われるのは演劇、映画などで、社会に発生した事件や流行をすぐ取り入れて脚色した作品をいう。1678年(延宝6)1月、大坂新町・扇屋の遊女夕霧(ゆうぎり)の死を翌2月から荒木与次兵衛座で脚色上演した歌舞伎(かぶき)狂言『夕霧名残(なごり)の正月』がその始まりとされ、当時は「一夜漬(いちやづけ)狂言」ともいった。近松門左衛門の世話浄瑠璃(じょうるり)には、お初徳兵衛の心中事件を3日のうちに脚色したという『曽根崎(そねざき)心中』をはじめ、際物ながら秀作が多い。その後もニュースを喜ぶ大衆の嗜好(しこう)に応じ、浄瑠璃や歌舞伎に多くつくられ、講談でも「際物読み」と称して流行した。今日では一般用語になり、芸能界、出版界などで広く使われるが、普通「際物」というと拙速とみなされ、芸術的に軽視される傾向が強い。
[松井俊諭]
…際物を販売する商人。際物は節物(せつもつ)のことで時節時節のものをいう。…
※「際物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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