伐採地に散在している伐倒木あるいは造材丸太を伐倒現場近くの土場(どば)に集積して,次工程の運材をやりやすくするために行う作業。運材は主として林道によって行われるが,集材は林道外で行われる場合が多く,集材距離は運材距離に比して短い。集材の方法は人力による方法,集材機による方法,トラクターによる方法などがある。人力による方法は山腹傾斜を利用して,とびなどにより一定の場所に木材を集めるもので,集材距離も50m程度である。これを〈木寄せ〉ともいう。集材機集材とトラクター集材は地形によって使いわけられる。山腹平均傾斜40%(約22度)以上の地形では集材機集材,それ以下の地形ではトラクター集材が適しているが,日本の森林は山腹傾斜15度以上の傾斜の山岳林が70%を占めており,集材機集材が盛んである。
集材機により集材する場合,普通は2本の固定支柱間に張られたワイヤロープに搬器をのせて行うが,木材の上げ下げおよび搬器の走行は搬器にとりつけた作業索によって行う。作業索の張り方によってタイラー式など各種の方式がある。スパン(支柱間水平距離)は500m前後のものが多い。架線集材は急峻(きゆうしゆん)地における作業が可能であるうえ,谷を越して対岸の林道へ集材するにはきわめて便利であるため,日本では盛んに用いられている。しかし架設に手間を要するので,スパン300m程度の短距離の場合は,架設に手間のかからぬ索の張り方を選択する必要がある。大径材搬出の場合の多い北アメリカ太平洋沿岸地方では,1本の支柱を立て,ワイヤロープにより集材するハイリード式が盛んである。ハイリード式は架設が容易であるが,地引きによって集材するから林床を荒らすことが多い。緩地形になると,支柱を必要とする架線集材は経済的に不利になり,車両による集材方式が用いられる。この場合はトラクターが中心になるが,道路網の発達しているところではトラックに搭載した油圧クレーンによって集材する方式が用いられる。クローラトラクターにより集材する場合は,牽引される木材と地面との摩擦抵抗を少なくするために,皿状の鉄玉に木材の一端をのせたり,サルキーと呼ぶ1軸2輪の牽引車で木材の一端をつり上げて搬出する。1965年ころから使われるようになった林業用ホイールトラクターは,クローラトラクターにくらべ軟弱地では牽引力が低下するが機動性に富むので,作業道上における集材に有効である。海外ではホイールトラクターを中心にした集材方式が盛んに用いられ,北アメリカの太平洋沿岸では気球による集材も行われている。
国有林において,67年に架線により搬出されたのは全搬出量の74%,トラクターにより搬出されたのは18%であったが,78年には57%が架線により,43%がトラクターにより搬出されるようになり,トラクターにより搬出される比率が高くなっている。この変化は路網の整備とも関係があるが,さらに路網が整備されると集材距離が短縮されるので,クレーン装備のトラックが用いられる。民有林における小径間伐材の集材には,単線循環式軽架線あるいはモノレールなどが用いられている。
執筆者:上飯坂 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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