雪印乳業(読み)ゆきじるしにゅうぎょう(英語表記)Snow Brand Milk Products Co., Ltd.

改訂新版 世界大百科事典 「雪印乳業」の意味・わかりやすい解説

雪印乳業[株] (ゆきじるしにゅうぎょう)

牛乳乳製品の大手企業。本社東京都新宿区。1925年,黒沢酉蔵(1885-1982),宇都宮仙太郎(1865-1940),佐藤善七(1874-1957)らの酪農家が中心となって,札幌に有限会社北海道製酪販売組合として設立され,バターの製造を始めた。26年道内の製酪組合を統合して保証責任北海道製酪販売組合連合会(略称酪連)となり,〈雪印〉のマークによる乳製品の生産・販売を始めた。道内にアイスクリーム,バター,チーズ,飲用乳工場を建設し,東京,大阪に進出,中国にも製品を輸出した。41年道内の明治製菓,森永煉乳(現,森永乳業)の工場を統合し,(株)北海道興農公社改称。第2次大戦後は47年に株式を酪農家,従業員に分散し民主化を図るとともに社名を北海道酪農協同(株)としたが,50年に集中排除法により北海道バター(株)(1958年,クローバー乳業(株)と改称)と雪印乳業(株)に分割された。両社は58年に合併し,雪印乳業(株)となった。60年代に工場の大規模化,70年代には冷凍食品,ファーストフード分野への進出を果たし,総合食品メーカーを指向したが,2000年夏に大阪工場から出荷された汚染牛乳による集団食中毒発生。02年には雪印食品子会社)による牛肉偽装事件が発覚した。そのためグループ事業を大幅に縮小し,乳製品に特化して再建を進めている。資本金160億円(2005年9月),売上高2834億円(2005年3月期)。
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日本の企業がわかる事典2014-2015 「雪印乳業」の解説

雪印乳業

正式社名「雪印乳業株式会社」。英文社名「Snow Brand Milk Products Co., Ltd.」。食料品製造業。昭和25年(1950)設立。本社は東京都新宿区本塩町。乳業会社。バター・チーズ・マーガリンの最大手。北海道中心に生産拠点を展開。前身は大正14年(1925)創業の「有限責任北海道製酪販売組合」。東京証券取引所第1部・札幌証券取引所旧上場。平成21年(2009)共同持株会社「雪印メグミルク株式会社」設立により「日本ミルクコミュニティ株式会社」と経営統合、上場廃止。同23年(2011)親会社に吸収合併。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雪印乳業」の意味・わかりやすい解説

雪印乳業
ゆきじるしにゅうぎょう

乳業会社。 1925年酪農民が団結して北海道製酪販売組合を創設。 26年雪印を商標とした。第2次世界大戦後の 47年経営の民主化をはかるため,北海道酪農協同に改組。 50年過度経済力集中排除法により,北海道バター (のちクローバー乳業と改称) と雪印乳業に分割されたが,58年クローバー乳業と合併し日本最大の乳業会社となった。飲食店経営の雪印パーラーや雪印種苗など子会社,関係会社多数。年間売上高1兆 1647億 1500万円 (連結) ,資本金 278億 900万円,従業員数1万 3178名 (2002) 。

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世界大百科事典(旧版)内の雪印乳業の言及

【乳業】より

…乳製品のうちバターが8万t,チーズが10.5万t,脱脂粉乳が19万tの生産量である。雪印乳業,明治乳業,森永乳業の大手3社への集中度が高い。 日本において牛乳,乳製品に関する記録は7世紀にまでさかのぼれるが,一般大衆が飲食するようになったのは明治に入ってからである。…

※「雪印乳業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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