雪印乳業(読み)ゆきじるしにゅうぎょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「雪印乳業」の意味・わかりやすい解説

雪印乳業(株)
ゆきじるしにゅうぎょう

乳製品バターチーズなど)の大手メーカー。1925年(大正14)北海道酪農のリーダー黒沢酉蔵(とりぞう)らが札幌ほか十数市町村の酪農家を糾合して設立した有限責任北海道製酪販売組合が前身。「酪連」と略称し「雪印」のマークのもとに全道の牛乳を集荷。種苗、食肉加工、皮革、製薬などにも進出し、1941年(昭和16)株式会社北海道興農公社改組。第二次世界大戦後の1950年(昭和25)に雪印乳業と北海道バター(のちクロバー乳業)とに分割、関連事業も分離し、雪印食品工業(後の雪印食品)、雪印種苗を設立(後にそれぞれ子会社となる)した。1958年クロバー乳業と合併、その後全国に事業を拡大。1970年代以降、冷凍食品、外食産業などに進出し経営多角化を図った。しかし、2000年(平成12)6月大阪を中心として起きた食中毒事件、2002年の子会社雪印食品による牛肉偽装事件などの不祥事をきっかけに、事業譲渡、分社化が進められ、2001年10月冷凍食品事業が、子会社の雪印冷凍食品(現アクリフーズ)に、2002年8月育児食品事業が、子会社のビーンスターク・スノーに、同年10月アイスクリーム事業が、雪印とロッテの合弁会社ロッテスノー(現ロッテアイス)となった。また、市乳事業部は、2003年1月に全国農協直販、ジャパンミルクネット(全国酪農業協同組合連合会の乳業事業の販売と製造部門により2001年設立)と統合し、日本ミルクコミュニティとなった。資本金148億円(2008)、売上高2870億円(2008)。全国に9工場、14支店、このほかに技術研究所(埼玉県川越市)、チーズ研究所(山梨県北杜市)などがある。札幌に雪印乳業史料館をもつ。

[森 真澄]

『雪印乳業史編纂委員会編『雪印乳業史』全6巻(1961~95・雪印乳業)』

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改訂新版 世界大百科事典 「雪印乳業」の意味・わかりやすい解説

雪印乳業[株] (ゆきじるしにゅうぎょう)

牛乳,乳製品の大手企業。本社東京都新宿区。1925年,黒沢酉蔵(1885-1982),宇都宮仙太郎(1865-1940),佐藤善七(1874-1957)らの酪農家が中心となって,札幌に有限会社北海道製酪販売組合として設立され,バターの製造を始めた。26年道内の製酪組合を統合して保証責任北海道製酪販売組合連合会(略称,酪連)となり,〈雪印〉のマークによる乳製品の生産・販売を始めた。道内にアイスクリーム,バター,チーズ,飲用乳の工場を建設し,東京,大阪に進出,中国にも製品を輸出した。41年道内の明治製菓,森永煉乳(現,森永乳業)の工場を統合し,(株)北海道興農公社と改称。第2次大戦後は47年に株式を酪農家,従業員に分散し民主化を図るとともに社名を北海道酪農協同(株)としたが,50年に集中排除法により北海道バター(株)(1958年,クローバー乳業(株)と改称)と雪印乳業(株)に分割された。両社は58年に合併し,雪印乳業(株)となった。60年代に工場の大規模化,70年代には冷凍食品,ファーストフード分野への進出を果たし,総合食品メーカーを指向したが,2000年夏に大阪工場から出荷された汚染牛乳による集団食中毒が発生。02年には雪印食品(子会社)による牛肉偽装事件が発覚した。そのためグループの事業を大幅に縮小し,乳製品に特化して再建を進めている。資本金160億円(2005年9月),売上高2834億円(2005年3月期)。
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百科事典マイペディア 「雪印乳業」の意味・わかりやすい解説

雪印乳業[株]【ゆきじるしにゅうぎょう】

牛乳,乳製品の最大手企業。1925年北海道酪農民の加工販売組織として北海道製酪販売組合(産業組合)を設立,バターの製造開始。1926年商標を〈雪印〉とし,1933年チーズを,1939年マーガリンを製造開始。1941年北海道興農公社(有限会社のち株式会社),1947年北海道酪農協同(株)と変遷。1950年集中排除法により雪印乳業・北海道バターに分割して設立。1958年クローバー乳業と合併。冷凍食品・医薬品,栄養剤の開発も行う。バターやチーズで圧倒的なシェアをもち,乳業界のトップであったが,2000年夏,大阪工場から出荷された汚染牛乳による集団食中毒事件が発生。また,2002年子会社(雪印食品)の牛肉偽装事件が発覚,グループの事業を大幅に縮小し,乳製品に特化して再建。本社東京・札幌。工場北海道,横浜,厚木ほか。2009年日本ミルクコミュニティと共同持株会社雪印メグミルクを設立,2011年雪印メグミルクが雪印乳業と日本ミルクコミュニティを吸収。
→関連項目乳業

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「雪印乳業」の解説

雪印乳業

正式社名「雪印乳業株式会社」。英文社名「Snow Brand Milk Products Co., Ltd.」。食料品製造業。昭和25年(1950)設立。本社は東京都新宿区本塩町。乳業会社。バター・チーズ・マーガリンの最大手。北海道中心に生産拠点を展開。前身は大正14年(1925)創業の「有限責任北海道製酪販売組合」。東京証券取引所第1部・札幌証券取引所旧上場。平成21年(2009)共同持株会社「雪印メグミルク株式会社」設立により「日本ミルクコミュニティ株式会社」と経営統合、上場廃止。同23年(2011)親会社に吸収合併。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雪印乳業」の意味・わかりやすい解説

雪印乳業
ゆきじるしにゅうぎょう

乳業会社。 1925年酪農民が団結して北海道製酪販売組合を創設。 26年雪印を商標とした。第2次世界大戦後の 47年経営の民主化をはかるため,北海道酪農協同に改組。 50年過度経済力集中排除法により,北海道バター (のちクローバー乳業と改称) と雪印乳業に分割されたが,58年クローバー乳業と合併し日本最大の乳業会社となった。飲食店経営の雪印パーラーや雪印種苗など子会社,関係会社多数。年間売上高1兆 1647億 1500万円 (連結) ,資本金 278億 900万円,従業員数1万 3178名 (2002) 。

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世界大百科事典(旧版)内の雪印乳業の言及

【乳業】より

…乳製品のうちバターが8万t,チーズが10.5万t,脱脂粉乳が19万tの生産量である。雪印乳業,明治乳業,森永乳業の大手3社への集中度が高い。 日本において牛乳,乳製品に関する記録は7世紀にまでさかのぼれるが,一般大衆が飲食するようになったのは明治に入ってからである。…

※「雪印乳業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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