電位差計(読み)デンイサケイ

デジタル大辞泉 「電位差計」の意味・読み・例文・類語

でんいさ‐けい〔デンヰサ‐〕【電位差計】

ポテンシオメーター

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電位差計」の意味・わかりやすい解説

電位差計
でんいさけい

既知の標準電圧未知の電圧や起電力平衡させて電圧や起電力の値を測定する、いわゆる零位法を利用した装置。測ろうとする電圧や起電力から電流をとらない状態で測定できるのが特長で、平衡は高感度の検流計で検出する。

[高尾利治]

直流電位差計

標準電池の起電力で校正した電位差と、測ろうとする測定電圧とを比較して測定するもの。現在は、標準電池のかわりに、十分な精確度を有する直流電源が用いられている。測定の精度は標準電圧の精確度と検流計の感度とに関係し、測定値は6桁(けた)まで得られる。電圧計の「目盛り定め」あるいは校正の標準測定器として広く用いられている。

[高尾利治]

原理

細かい目盛りをつけたすべり抵抗線ABに電流(電位差計電流i)を流す。次に、そのときの室温における標準電池の起電力Esの値と等しい目盛りのところへ、検流計Gを直列にして接続する(C点)。初めは抵抗線の電圧と標準電池の起電力とに差があるので、検流計がいわゆる「振れ」を生ずるが、電位差計電流抵抗Rを調整して、振れをゼロにすると、抵抗線上の目盛りが電圧の正しい目盛りになる。次にKをEx側に切り換え、標準電池と未知電圧Exを入れ換え、ふたたび検流計の振れがゼロになるように、今度はすべり抵抗線上の接続点C点を移動させる。振れがゼロになった点の目盛りが未知電圧の値である。電池Ebは、測定に際し起電力の値が一定不変であることがたいせつである。最大測定電圧は普通2ボルト以下で、それ以上の値の場合は分圧箱を用いる。現在は、すべり線抵抗器や電池Eb回路を設けず、直接未知電圧Ex可変標準電圧発生器の起電力Esとを、検流計を介して平衡させて測定する方法や、高精度のデジタルマルチメーターで直接、未知電圧を測定する方法などが用いられている。

[高尾利治]

交流電位差計

交流の場合、標準と未知の二つの電圧の振幅、周波数、位相、および波形の四つが一致しないと完全な平衡がとれない。このため、直流の場合に比べて感度も低く、構造および操作が複雑なので、現在ではほとんど用いられない。

[高尾利治]


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化学辞典 第2版 「電位差計」の解説

電位差計
デンイサケイ
potentiometer

ポテンショメーターともいう.被測定電圧の値を標準電池の平衡電圧と比較して,零位方式により正確に測定する装置.直流用と交流用とがあるが,普通に用いられるのは前者である.直流電位差計原理図は図のようになる.

電池Uと可変抵抗Rによって可変電圧 Ev をつくり出し,被測定電圧 Ex と検流計Gを介して図のように接続する.接点Tを動かしてGの振れない点を精密に求めれば,このとき

EvEx
になる.Ev の値をあらかじめ標準電池 Es を用いて同様な操作で較正しておけば,Ex は高い精度で求められる.実際の測定では,Gの振れない点を求めるため,Tを動かして Ev を調節している間に被測定系にある程度の電気量が流れるので,とくに被測定系が容量の小さい電池の場合には,上記の操作中に流れた電気量のために系の本来の状態が乱されてしまい,正しい測定値が得られないことがある.したがって,できるだけ高感度で内部抵抗の高い零点指示器を用い,かつ,被測定系に電流を流す時間を極力短くして,測定操作中に流れる総電気量を最小限にすることが望ましい.一般に,電位差計による測定には手間を要するが,低抵抗回路では4~6けたの有効数字が得られる.電池の平衡電圧や金属系の熱起電力の測定などに用いられるほか,標準抵抗を併用して電流の精密測定にも使われる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「電位差計」の意味・わかりやすい解説

電位差計 (でんいさけい)
potentiometer

ポテンショメーターともいう。未知電圧と既知電圧を検出器を用いて比較し,零位法によって未知電圧を求める精密測定器。直流用と交流用があるが,交流用は現在作られていない。直流電位差計は電圧測定のほか,電流,抵抗の測定に用いられる。図に原理を示す。回路に一定電流を流し,可変抵抗部の端子電圧(=電流×抵抗)と未知電圧を比較するもので,一定電流を得るため標準電池を用いる。この場合平衡のための検出器は切り換えて使用する。測定範囲は最大1.5~2.4Vで10⁻4~10⁻6程度の精度がある。測定範囲を超える電圧に対しては,ガードつきまたはガードなしの抵抗分圧器を併用,電圧を下げて比較する。回路の構成と抵抗値により,高抵抗形,中抵抗形,低熱起電力形,ケルビンバーレイ形などがある。また二つの電流を磁束に変換,磁気変調器で比較する電流比較器の原理を用いた電流比較形電位差計がある。10⁻7~10⁻8の精度と素子の経年変化の少ない点から注目され,超精密な測定に用いられる。一方,ツェナーダイオードを基準定電圧源とし,電子式増幅器を用いた可変の標準電圧発生器が作られている。最高1000V,7ダイヤル程度のものまであり,検出器を用い,1000Vまでの電圧を直接測定することができ,電位差計の代用となる。同様な原理の交流電圧発生器もあり,位相器と併用することにより交流電圧を測定することができる。電位差計の原理は,XY記録計,工業計器の記録調節計などに応用され,平衡はサーボモーターを用いて自動的に行われる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電位差計」の意味・わかりやすい解説

電位差計
でんいさけい
potentiometer

未知の電圧を既知の電圧と比較することにより,きわめて精密に電圧を測定する装置。ポテンシオメータともいう。測定値と標準値を平衡させることで検出器のかたよりをゼロにする方法が用いられる。電池の起電力,熱電対の熱起電力,ならびに電流や抵抗の測定に用いる。電位差計の特徴は,被測定電圧から電流を流さないで測定することにある。精度は標準電池の校正値と検流計の感度によるが,普通は有効数字5桁である。抵抗線に沿って目盛りをつけ,Cの目盛り (図参照) がその温度における標準電池の起電力に等しくなるように,最初に動作電流を調整しておけば,未知の起電力は目盛りを直読することによって得られる。

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百科事典マイペディア 「電位差計」の意味・わかりやすい解説

電位差計【でんいさけい】

ポテンシオメーターとも。電気回路の任意の2点間の電位差を測定する装置。標準電池と可変抵抗によって得られる既知電位差と,未知電位差とを平衡させて測る。直流用は電圧,電流,抵抗をきわめて精密に測ることができるが,交流用は電圧の実効値と位相角とを測定。
→関連項目電位

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